二宮和也、『マイファミリー』で新たな一面 サスペンスの核にあるホームドラマの本質
警察以外では、温人と未知留の学生時代の友人たちも見過ごせない。弁護士の三輪(賀来賢人)と元刑事の東堂(濱田岳)は未知留に請われて駆け付けるものの、温人に追い返される。かつての親友の間に何があったかは、ドラマの進展とともに明らかになるだろう。東堂は元刑事だけあって、葛城や吉乃(富澤たけし)たち警察関係者に顔を知られている。さらに、東堂と葛城は過去に起きたある事件にかかわりがある様子。事件というのは、4年前に葛城が担当した営利誘拐事件を指すと思われる。誘拐の手口が共通する2つの事件が同じ犯人の仕業であるとして、その両方への東堂の関与が示唆された。
第1話から多くの謎や伏線が提示される中、最大の謎は鳴沢家が狙われた理由だ。犯人が身代金の受け渡し場所に指定したのは、友果が小学1年の遠足で行った場所。犯人はその答えを知っているようだが、家族そっちのけで仕事に打ち込んでいた温人にわかるはずもなく……。温人を試すような質問の意図からして、犯人は友果の以前からの知り合いではという疑問が浮上する。そういえば、第1話冒頭の姿を消すシーンで、友果は温人の動画を見て反発するような態度を示していた。しかし、もし父親への反発が事件の原因なら、これほど手の込んだ誘拐事件にならないはず。そうだとすれば、他に理由があるとして、それが鳴沢家の家族のあり方に関係している可能性は高そうだ。
温人の眼が力強さを取り戻したのは、犯人向けの動画によるメッセージの中でだった。身代金受け渡しに失敗し、犯人から警察の完全排除を求められた段階になって、温人は父親として受けて立つ覚悟を決める。犯人に「どうか娘だけは殺さないでください」と頭を下げる姿は真剣そのもので、家族を守るため仮面夫婦がふたたび手を取り合う。刑事ドラマとサスペンスの装いを備えた『マイファミリー』の核に、ホームドラマの本質があることを確認した瞬間だった。
■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
製作著作:TBS
(c)TBS