米ディズニー従業員、フロリダ州の差別的な法案に対するディズニー社の姿勢に抗議

 フロリダ州の差別的な法案、「Don’t Say Gay」通称「ゲイと言ってはいけない」法案に対するディズニー社の対応に注意を喚起するため、社員が街頭やソーシャルメディアで抗議行動を実施しているとdeadlineで報道された。

 2024年の米大統領選で共和党の指名候補としても名前が挙がるフロリダ州知事のロン・デサンティスが署名することで7月に施行されるおそれがある、通称「ゲイと言ってはいけない」法案。この内容は、州の公立学校において幼稚園から小学3年生にLGBTQ+コミュニティと「性的指向または性自認」についての議論や教育を事実上すべて禁止するものだ。

 この通称「ゲイと言ってはいけない」法案こと「性的指向の議論禁止」法案の影響に抗議する、ウォルト・ディズニーのLGBTQ従業員とその支援者たちは「本当に苦しく、魂が砕かれる思いだ」とVarietyに語っている。

 現地時間3月22日の朝、75人ほどのディズニー社員がバーバンクスタジオのすぐ近くにあるベット・デイビス・ピクニック・エリアに集まると、看板を持ち、「ディズニーは問題に立ち上がれ!」「私たちはここから去らない!」「私たちはクィアだ! 私たちはここにいる!」とうったえかけた。デモ参加者の何人かは、このストライキを上司がおおむね支持してくれていると語っており、多くの会議がストライキに合わせて予定を変更されたという。

 また集会では、性自認や性的指向に関する指導を禁止する法案を支持するフロリダ州の議員に、会社が資金提供するのをやめることが重要だと語られた。一方で、ディズニーがカリフォルニアからフロリダに労働者を異動させることへの懸念をあらわにする者も。

 この件に関して、当事者であるディズニー社員はVrietyにコメントを寄せている。トランスジェンダーの息子を持つディズニー・ミュージック・グループの従業員、レイチェル・アンダーソンは、「フロリダは今、LGBTQIAコミュニティにとって安全な場所ではない」と話す。フロリダ州の法案は子供の精神衛生にとって後戻りするものであるとし、同社が法案に賛成した議員を支持していることにも憂慮している。「個人的には本当に辛く、心が折れそうです」と心中を語った。

 また、ディズニーのストリーミング部門の社員のジェンツにもトランスジェンダーの子どもがいるが、「政治的論争に巻き込まれたくないとするディズニー社の当初の主張には納得できない」と述べた。ディズニーCEOのボブ・チャペックがテーマパークでのマスク着用義務に反対する政治的活動を展開していることにも言及し、「彼はお金を生み出すためなら、政治的な立場もいとわない」と批判。

 抗議者たちは、近隣の州における同様の法案に対して、ディズニーが立ち上がることも求めている。

 一方で、ABC、ESPN、Disney Plus、Huluなどのディズニー企業は、LGBTQコミュニティを支持し、「LGBTQIA+コミュニティの基本的人権を侵害する法案 」に反対するTwitter声明をそれぞれが発表。またマーベル・スタジオもいち早くSNS上で同等の意思表示をしている。

 従業員の抗議行動から数日以内に会社が方針を転換したことに勇気づけられた者もいた。「このような巨大な多国籍企業にとって、これは大きなことだと思います。なぜなら、不満を持つ人もいるでしょうが、立ち向かうことこそが重要だと思うからです」と、Huluの従業員の一人であるベスは語っている。

参照

https://deadline.com/2022/03/disney-walkout-dont-say-gay-hulu-disneyworld-fx-espn-bob-chapek-1234984074/
https://variety.com/2022/film/news/disney-lgbtq-employees-walkouts-dont-say-gay-1235211082/

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