向井理、コメディ俳優としての強みを得て新たな黄金期へ 演技に加わった“人間味”

 この数年で向井理の演技に加わったものがあるとするなら、間違いなく「人間味」だと思う。ともするとちょっと無機質に見えていた彼の人物造形に、いい遊びやくたびれが生まれた。それが、魅力となって開花した。マクドナルドのCMで見せたちょっと疲れたお父さんが共感と支持を集めたのも、彼の醸し出す「人間味」に人々が親しみを感じたから。8.5頭身のスタイルは人間離れしているのに、ちゃんと生活をしている匂いがする。これは、市井の人を演じることが多い俳優としては大事な要素だと思う。

 向井理という俳優をピッチャーに例えると、直球勝負の剛腕ではないし、変化球が得意な技巧派とも少し違う。思い浮かぶのは、よくスポーツバラエティでも登場する「ストラックアウト」だ。1から9の数字が書かれたパネルを並べ、宣言した数字を射抜く的当てゲーム。1をオーダーされれば確実に1を抜き、9と言われれば9を当てる。つまり、リクエストされたものに応える力が、向井理は卓越しているのではないかなと思う。

『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(c)日本テレビ

 コメディであっても恋愛ドラマであっても、自分に求められているものは何かを瞬時に把握し、それを過剰も不足もなく体現する力。向井理は、そのスキルがずば抜けている。それには、自分がどう見えているのかを理解する客観性が必要だし、自分のアウトプットをコントロールする職人性や知性も不可欠。このあたりは理系の彼の地頭の良さが活きているのかもしれないし、今や年に1度のライフワークとなっている舞台という再現性が求められる場で培ったものかもしれない。いずれにせよ向井理は類い稀な「制球力」を武器に、男性俳優としても生き残りの難しい40代という時期に、優れた容貌で評価された20代以上の輝きを手にしている。

 この4月から『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)と『先生のおとりよせ』(テレビ東京系)という2本のドラマに出演が決まっているのも、向井理は40代からが黄金期という証拠。完璧すぎるイケメンでありながら、「人間味」を表現できるようになった向井理は、今、俳優として最も充実した季節を迎えようとしている。

■公開情報
『ウェディング・ハイ』
全国公開中
出演:篠原涼子、中村倫也、関水渚、岩田剛典、向井理、高橋克実
脚本:バカリズム
監督:大九明子
主題歌:東京スカパラダイスオーケストラ 「君にサチアレ」(cutting edge / JUSTA RECORD)
配給:松竹
制作プロダクション:ホリプロ
製作:「ウェディング・ハイ」製作委員会
(c)2022「ウェディング・ハイ」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/wedding-high-movie/
公式Twitter:https://twitter.com/wedding_high
公式Instagram:https://www.instagram.com/wedding_high_movie/

■放送情報
『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』
日本テレビ系にて、4月13日(水)スタート 毎週水曜22:00〜放送
出演:今田美桜、江口のりこ、鈴木伸之、高橋文哉、向井理
原作:深見じゅん『悪女(わる)』(講談社『BE・LOVE』)
脚本:後藤法子、松島瑠璃子
演出:南雲聖一、内田秀実、山田信義
プロデューサー:諸田景子、小田玲奈、大塚英治、平井十和子
チーフプロデューサー:加藤正俊
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/waru2022/

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