ダニエル・エスピノーサ監督『モービウス』を語る 「昔から僕にとって身近な存在だった」

 4月1日に日米同時公開される『モービウス』で監督を務めたダニエル・エスピノーサのインタビューが到着した。

 本作は、ソニー・ピクチャーズが贈る、『ヴェノム』『スパイダーマン』に続くマーベル映画。命を救うことに情熱を注ぐ天才医師でありながら、血に飢えた“ヴィラン”と化すモービウスを、『ダラス・バイヤーズクラブ』『スーサイド・スクワッド』のジャレッド・レトが演じる。

 『チャイルド44 森に消えた子供たち』『ライフ』などを手がけてきたエスピノーサ監督は12歳のとき、左脚に小さな腫瘍ができたため入院することになった。心を痛めた母は、入院前に息子をストックホルム市内にあるコミックブック店に連れて行ったという。「そのとき、初めてマーベル・ユニバースが僕の目の前に広がった」と語るエスピノーサ監督は、スウェーデン語に訳された『スパイダーマン』のコミックスのページを夢中になってめくりながら、読み方を覚えたという。「キャラクターたちが友達のような存在になったんだ」。

 コミックブック、特にマーベル・コミックが大好きになった彼は、「マーベルがこれまで出版してきたものはほぼすべて読んでいるし、モービウスというキャラクターは昔から僕にとって身近な存在だった」と語るほど、今も熱心なファンだという。

 子供のころに、難民としてチリからスウェーデンにたどり着いたエスピノーサ監督は、アウトサイダーという概念と自分との繋がりを感じながら育った。「マーベルの素晴らしいキャラクターたちは、どれもアウトサイダー的だ」と彼は言う。そうした思いが、彼とマイケル・モービウスとの距離をさらに縮めた。

 マイケル・モービウスについてエスピノーサ監督は、「マイケル・モービウスは社会からはじきだされ、孤児院や病気に苦しむ子どもたちのための病院で育った。両親もいないんだ。その後彼は、素晴らしい頭脳と発想を持った少年に育つが、人々に疎んじられることになる。それは、難民だった自分にとって、よくわかるものだった。モービウスの物語の要素である、怒りと憎しみ、そして復讐したいという気持ちに共感できたんだ。他方で、弱者の一員である彼には、弱者たちを守りたいという利他的な側面もある。そこにも共感を覚えるよ」と語る。

 そんな『モービウス』の物語が、レトとともに、マイロ役のマット・スミス、モービウスの同僚医師のマルティーヌ・バンクロフト役のアドリア・アルホナ、そしてFBI捜査官を演じるタイリース・ギブソンとアル・マドリガルというキャストによって、史上初めてスクリーン上に描き出される。

 エスピノーサ監督は、「この映画は、モービウスの世界の奥深さについて語るチャンスなんだ」と言う。「動くモービウスを初めて映像作品にさせてもらえることを大変名誉に思っている。また、誰かの後を引き継いでいるときのような気遣いもしなくてよかった。どういう作品にするのかジャレッドと一緒に考えることができた。他の誰かが以前やったことに配慮する必要はなかったんだ」。

 レトと一緒に仕事をできたことで、この経験がさらに素晴らしいものになったとエスピノーサ監督は言う。「本当に素晴らしかったよ。彼は、身体面でもこのキャラクターなりきるために僕が今まで見たことのないほどの努力をしていた」とレトの役作りを絶賛するエスピノーサ監督。

 そんな彼の願いは、本作が、観客がこれまで見たこともないようなものを提供する映画になっていること。なぜなら、モービウスというキャラクターは、マーベル全体の中でも、最も複雑で魅力的なキャラクターだからだと彼は言う。実験の結果、すさまじい変貌を遂げたモービウスは、利他的な理想を原動力としながらも、自分自身の中にある邪悪な飢えとの闘いを余儀なくされ、葛藤する男になる。

「英雄的な行為は、エンパシーの現れだ。マイケル・モービウスは、マーベル・ユニバースの中で最も利他的なキャラクターの1人だ。 彼には、利己主義的な動機が一つもないんだ」

 「コミックブックおたく」を自認するエスピノーサ監督は、これまでのマーベル・コミックスに登場したさまざまなバージョンのモービウスからインスピレーションを得たという。その一例として彼が挙げるのが、モービウスの神話、そしてこの映画の重要な要素を形成している、船上での重要なシーンだ。エスピノーサ監督は「僕はあのイメージが好きで、いくつかのイメージを再現した上で、今の時代に即して、一部を変えるようにしている。すごくエキサイティングなプロセスだった。僕たちがやったことを気に入ってもらえることを願っているよ」と自信を見せた。

■公開情報
『モービウス』
4月1日(金)全国ロードショー
監督:ダニエル・エスピノーサ
脚本:マット・サザマ、バーク・シャープレス
出演:ジャレッド・レト、マット・スミス、アドリア・アルホナ、ジャレッド・ハリス、アル・マドリガル、タイリース・ギブソン
日本語吹替版声優:中村悠一(モービウス)、杉田智和(マイロ)、小林ゆう(マルティーヌ)、楠大典(ストラウド)、田村睦心(少年時代のモービウス)、松本沙羅(少年時代のマイロ)
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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