松岡昌宏が泣き出しそうな表情でしがみつく 『逃亡医F』藤木&拓郎による妙子の奪還

 天才外科医・藤木でさえ、妙子の顔を実際に見て、驚いたほどの奇跡なのだから。瞬きの一つもなく、ゆっくりそばへと近付くにつれ、本当に生きているのだと実感する。そうして湧き上がる安堵と愛情、そして覚悟。藤木の瞳が、妙子の頬に触れる手が、妙子への想いと奪還の決意を物語っていた。

 妙子への処置が終わった。血液サンプルも「DDSη」の完成データも、すべて佐々木に渡した。もしも、妙子の目が醒めなければ(あるいは目覚めたとしても)、藤木らはみな、用済みだ。佐々木は気味の悪い男だが、やはり頭はいい。決して己の手は汚さずに、不都合を消していく。「息子の笑顔を見るためにしたずるいこと」を償うと決めた長谷川(桐山照史)にも、魔の手を伸ばすほどに。

 だから逃げるしかない。処置室のドアが開き、奪還計画が始まる。拓郎は、佐々木を殴りつけたあと、今にも泣き出しそうな表情で、妙子を乗せたストレッチャーにしがみつく。

「会いたかったろ、藤木だぞ」

 拓郎が妙子にかけたのは、思わぬ言葉だった。かつて美香子(森七菜)に指摘されたように、拓郎はどこか「自分の知っている妙子」だけを見ようとしていた。大人になった妙子を、もしかすると後ろめたい事実を隠しているかもしれない妙子を、見ないふりしようとしていた節もあった。世界のすべてが兄であってほしいと思うほど、大切な妹。けれど今、妙子がたしかに生きていることが分かった今、拓郎は「八神妙子」を、藤木を愛した妙子を、守り遂げようとしている。

 たとえば妙子が目覚め、藤木の冤罪が晴れ、すべてがクリアになったとしてーー美香子の選ぶ道も、気がかりだ。次週、いよいよ最終回。もう一波乱、ありそうな気配だが。

■放送情報
『逃亡医F』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~放送
出演:成田凌、森七菜、桐山照史(ジャニーズWEST)、桜庭ななみ、堺小春、古屋呂敏、和田聰宏、酒向芳、前田敦子、安田顕、松岡昌宏
原作:『逃亡医F』(Jコミックテラス刊)(原作:伊月慶悟、作画:佐藤マコト)
脚本:福原充則
演出:佐藤東弥、大谷太郎ほか
音楽:今堀恒雄
チーフプロデューサー:三上絵里子
統轄プロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:藤村直人、本多繁勝
協力プロデューサー:吉川恵美子、阿利極
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/toubouif/
公式Twitter:@touboui_ntv

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