『鬼滅の刃』遊郭編は圧巻の作画の連発 最終回直前にポイントを解説
毎週日曜日に放送中のTVアニメ『鬼滅の刃』。いよいよ2月13日で、遊郭編の最終回を迎える。
遊郭編の見どころと言ったらまずは作画だろう。まるで映画を観ているかのような美しい作画が、白熱したバトルシーンをさらに盛り上げた。
舞台である「遊郭」の華やかさや残酷さ、炭治郎・禰豆子、妓夫太郎・堕姫、そして忍時代の宇髄の兄弟たちなど、さまざまな兄弟の形も描かれた。本記事では、最終回に向けて遊郭編のポイントをまとめていきたい。
圧巻のバトルシーン
遊郭編はバトルシーンの作画が見どころのひとつである。印象に残っているのが、宇髄と妓夫太郎の熱烈な争いだ。
第8話の、両者とも一瞬の隙も見せないような殺陣の場面では、あまりにも動きが早すぎて目が追いつかなかった。宇髄が放つ火薬玉の爆発や刀と刀がぶつかり合った時に生じる閃光エフェクトが眩しい。
第10話で宇髄が復活した後の戦いも大迫力の作画だ。画面いっぱいに剣の軌跡や爆発の煙が映り込む。2人の速度は前回よりも増し、誰も近寄れないダイナミックなバトルとなっていた。
宇髄の「音の呼吸」も美しかった。「伍ノ型 鳴弦奏々」では、爆発音とともにいくつもの火花が飛び散り、まるで小さな花火を見ているかのような鮮やかさがあった。それと対照的だったのは妓夫太郎が放つ血鎌の不気味さである。毒々しい赤やドロドロとした表面は見るからに禍々しい様子だ。
そして遊郭編では炭治郎・善逸・伊之助の鬼殺隊3人の成長がかなり感じられた回で、3人のバトルシーンも凄まじい描写だった。炭治郎は「ヒノカミ神楽」を披露。輝かしく広がっていく炎が、おびただしい堕姫の帯を燃やしていった。その威力は確実にパワーアップしていて、段々と「ヒノカミ神楽」を使いこなしていく様子が窺える。善逸の稲妻も威力が増し、伊之助の「獣の呼吸」はスピードがさらに速くなっていた。
第9話の3人で力を合わせて堕姫の頸を狙う場面では、炭治郎の「水の呼吸」と善逸の「雷の呼吸」で帯を抑え、そこを伊之助が全速力で駆けていく様子が見られた。3人の修行の集大成のようで、感動的な絵である。
遊郭編は、どこの場面を切り取っても美しい作画が目立った。“ド派手”な戦いが多く見られ、放送終了後は毎度映画を観たあとのような満足感を得られた視聴者も多かったことだろう。
さまざまな兄妹の形
また、遊郭編ではさまざまな兄妹の形が見えた。炭治郎と禰豆子の絆は言うまでもない。炭治郎が堕姫との戦いで窮地に陥った時、禰豆子が炭治郎を庇い、堕姫と戦う。しかし遊郭編での禰豆子は鬼の力が増していき、次第に暴走していくようになる。人間の血を目の前にした際は、自制が効かず襲いかかった。そんな禰豆子を体を張って全力で止める炭治郎。母がよく聞かせていた子守唄を歌い、落ち着かせた。この場面からは、家族の愛や兄弟愛が垣間見えた。
一方、妓夫太郎と堕姫の絆も強かった。堕姫の中に潜んでいた妓夫太郎は堕姫の叫喚とともに姿を現わし、圧倒的な強さを宇髄たちに見せつける。堕姫はこれまでの強い印象を一変するような、甘えた様子を見せるようになった。その姿から兄のことを心から信頼し、慕っていることが窺える。妓夫太郎も、自分の力の一部を堕姫に与え、妹を守りながら宇髄や炭治郎と戦っていた。鬼でありながらも、家族としてお互いを支え合い信頼している様子は蜘蛛の糸を操る累たち鬼一家とは大きく異なる。
炭治郎も2人の絆を感じていたのであろう。第10話で妓夫太郎の頸を斬る際、妓夫太郎の姿を自分と重ねて見ていた。「その境遇はいつだってひとつ違えばいつか自分自身がそうなっていたかもしれない状況」「俺は運よく人間でいられたけれど、2人とも鬼になっていた未来もあったかもしれない」と炭治郎は語る。自分たちと妓夫太郎・堕姫兄弟の違いは「人間か鬼か」だけであり、一歩でも間違えれば自分たちは鬼側に回っていたかもしれない。非常に危うい状況だったと振り返った。
そして、第8話では宇髄の兄弟たちとの悲しい過去も明らかになった。忍の家系で育った宇髄は、9人いた兄弟が15歳になるまでに7人死んだという。唯一生き残った弟を「無機質な父親の複写」と表現し「あんな人間になりたくない」と強く思っていた。
宇髄には炭治郎・禰豆子兄弟や妓夫太郎・堕姫兄弟のようにお互いを支え合えるような兄弟はいなかった。ずっと孤独を感じながら育ってきたのだろう。だからこそ、雛鶴・まきを・須磨の3人の妻たちを何よりも大事にしている。
このように遊郭編ではさまざまな兄弟の形が描かれていて、物語をより豊かにしていた。