『カムカムエヴリバディ』ひなたの英語学習に注目 るいが過去に負った心の傷を浄化する?
3人のヒロインを通して親子3世代の100年を描く『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)。ラジオ英語講座がカギとなる物語だと思っていたのだが、るい編になってから英語を勉強している描写がなく、いつ復活するかと期待していたところ、るい(深津絵里)の娘のひなた(新津ちせ)が外国人の少年ビリー(幸本澄樹)に一目惚れしたことをきっかけに、ようやくラジオ英語講座が再登場した。
るいが書店でテキストを探してひなたに買い与え、勉強嫌いのひなたが父・錠一郎(オダギリジョー)の後押しもあってラジオ英語講座で学習し始める。るいはそんなひなたの姿を見て、自分が幼い頃に母・安子(上白石萌音)と一緒にラジオを聞いていたことを思い出すが、るいの顔には笑みがこぼれている。
るいは子供の頃に安子とロバート(村雨辰剛)の抱擁を目撃し、ロバートが安子に「I love you」と言っている部分のみを聞くと、安子がロバートと愛し合うことで自分は捨てられたと勘違いし、傷ついてその場を去った。その後、安子の本心を聞くことも理解することもなく、安子に「I hate you」と告げシャットダウンしてしまったるい。るいは自分が安子に「I hate you」と言ったことを覚えている様子はなく、「母に捨てられた」という記憶だけが残り、心に傷を抱えながら大人になった模様。そして、ふとしたことから時折り安子とロバートの抱擁の記憶がよみがえり、自分だけを愛してくれていた母に去られたという苦い想いを噛みしめてしまうのだ。
そして、ひなたが誕生し、屈託のない娘が元気いっぱいに成長する姿をまぶしいと感じるるい。しかし、ひなたの初恋相手のビリーが、安子を自分から“奪った”ロバートのような外国人であり、娘がビリーと会話したいがために英語を学びたいと知っても、笑顔でいることができた。安子と毎日楽しく勉強したラジオ英語講座に再び向き合うことになったるいの、封印しようとしても頭から消えることがなかった安子とロバートの抱擁を見たトラウマは、ひなたが英語を学ぶことで、ようやく浄化されるのではないだろうか。