『フレンチ・ディスパッチ』リナ・クードリに聞く、ウェス・アンダーソン作品の稀有な体験

「一番大切なのは、作品そのもの」

ーー今回クードリさんが演じているのは、学生運動グループの気の強い会計係ジュリエットで、第2話「宣言書の改訂」に登場します。共演シーンが多かったティモシー・シャラメとの共演はいかがでしたか?

クードリ:ティモシーはいま人気絶頂の俳優ですが、彼自身は普通の人で、あまりスター扱いされるのは好きではないタイプですね。ティモシーだけでなく、この作品にはたくさんの大物俳優が出演していますが、誰一人スター然としてふるまう人はいませんでした。みんな俳優という仕事が好きで、映画に携わっている人たちなんです。自分が演じる役柄を大切にし、ストーリーに貢献したいと考えている。ティモシーともたくさん話をしましたが、とりわけ私たちにとって最も関心のある話題、つまり“俳優”という職業について語り合いました。私たちには共通して、演じたいという欲求、情熱があるのです。もちろん彼がいろんな作品で評価され、人気が出るのは素晴らしいことですが、彼にとって一番大切なことは、映画に出ることだと思います。私から見れば、彼はとても知性があり、いまとてもいい場所にいると思います。それは、彼にとって一番大切なことに専念しているからです。とても気前がよくて、撮影中もテイクごとにいろいろな提案をしてくれました。俳優という職業を本当に気に入っているんだなという印象が強かったですね。

ーー日本ではこの作品を皮切りに、『GAGARINE/ガガーリン』(2月25日公開)、オートクチュール』(3月25日公開)と、あなたの出演作が月に1本公開を迎えることになるので、知名度もぐんと上がると思います。主演を務めた『パピチャ 未来へのランウェイ』(2019年)も含め、これまでは母国フランスの作品に出演することが多かったと思いますが、今後は『フレンチ・ディスパッチ』のようにハリウッド映画や他の国の作品にも積極的に出演する予定があるのでしょうか?

クードリ:私には予想がつきません(笑)。これからどうなるかはわかりませんが、世界のいろんな場所で撮影することになればいいなとは思っています。ひとつ言えることは、今後、自分自身で誇りを持てる作品、撮影していて幸せを感じられる作品、サポートしたいと思える作品、演技する喜びを感じ、自分が演じる人物にも共感できる、そういう作品に関わりたいと思っています。場所がフランスか外国であるかは、あまり重要ではありません。一番大切なのは、作品そのものだと思います。日本映画でも、自分がいいと思える作品であれば、ぜひやりたいと思います。

■公開情報
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
全国公開中
監督・脚本:ウェス・アンダーソン
出演:ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントン、レア・セドゥ、フランシス・マクドーマンド、ティモシー・シャラメ、リナ・クードリ、ジェフリー・ライト、マシュー・アマルリック、スティーブ・パーク、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、クリストフ・ヴァルツ、エドワード・ノートン、ジェイソン・シュワルツマン、アンジェリカ・ヒューストンほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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