『たかが世界の終わり』ギャスパー・ウリエルが37歳で死去 『ムーンナイト』が遺作に
フランスの俳優ギャスパー・ウリエルが、フランス南東部でスキー事故に遭い、37歳の若さで死去した。
アルベールビル検察庁が出した声明によると、事故は現地時間1月18日16時(日本時間19日0時)に、アルプス地方サボアのラ・ロジエール・スキー場で起きた。ウリエルはゲレンデの頂上から滑り降りた後、他のスキーヤーと衝突し、二人とも地面に倒れこんだ。もう一人のスキーヤーに怪我はなかったものの、救急隊が現場に到着したときにウリエルは意識不明のまま雪の中に倒れていたという。その後、近くのグルノーブル大学病院センターへ運ばれ、19日の午後に死亡が発表された。
ウリエルは2014年の伝記映画『SAINT LAURENT サンローラン』でフランスのファッションデザイナー、イヴ・サンローランを演じ、高い評価を得る。2016年にはグザヴィエ・ドラン監督作『たかが世界の終わり』で主演を務め、同作はその年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。加えてウリエル自身はフランスのアカデミー賞に相当するセザール賞で主演男優賞を受賞。そのほか、『ハンニバル・ライジング』(2007年)では若かりし日のレクター博士役も演じている。彼の死後にディズニープラスで配信されることになるマーベルドラマ『ムーンナイト』(3月30日配信予定)では、アントン・モガート/ミッドナイトマン役で出演している。
フランスの首相ジャン・カステックスは19日、自身のTwitterにこの件に関するコメントを投稿。「ウリエルは映画とともに成長し、映画は彼とともに成長した。二人は狂おしいほど愛し合っていた。ウリエルの美しい演技や、ユニークなまなざしを観るたびに、心が痛むことになるだろう。私たちはフランスの俳優を失った」と死を悼んだ。
また、同じフランス人俳優のジャン・デュジャルダンは、黒いハートの絵文字とともに一言「ギャスパー」と書かれたキャプションを添えて、Instagramにウリエルの写真を投稿。哀悼の意を表している。
そして、『たかが世界の終わり』の監督であるグザヴィエ・ドランは、「この言葉を書こうと思うことすら信じがたく、とても苦しいことだ。あなたの控えめな笑い声、注意深い瞳、そして傷跡。あなたの才能、話の聴き方、ささやき声、いたわり方。その人柄の全ては、輝くような愛おしさから生まれていたのだ。あなたの存在の全てが私の人生を変えた。私はあなたの存在を深く愛しており、これからもずっと愛し続けるだろう。もう何も言えない、疲れ果ててしまった。あなたの旅立ちに呆然としている」と自身のInstagramでウリエルに向けて綴っている。
※参考
https://edition.cnn.com/2022/01/19/entertainment/gaspard-ulliel-death-ski-accident-scli-intl/index.html
https://deadline.com/2022/01/industry-tribute-actor-gaspard-ulliel-skiing-accident-death-great-talent-1234915283/