堤幸彦の最高傑作? 映画監督50作目『truth』を観て感じる、映画に必要なこと
極端な言い方をすると、映像を一切観ずに、音声だけ聴いていても会話劇として楽しめるだけの応酬が最初から最後まで展開されます。もちろん、ラストシーンに至るあるカットの絶妙なアングルを含め、映像の切り取り方も、一室だけでの撮影とは思わせない一流の職人の技術が随所にありました。
人気の役者、豪華なセット、誰もが知っている人気原作……それらを否定する必要はまったくないのですが、「面白い映画/いい映画」の絶対条件ではないと、改めて本作を観て思い知らされました。
限られた予算の本作が、会話劇の一点突破で海外映画祭でも高く評価されていることは、非常に喜ばしいことです。知っている役者ではない、タイトルに惹かれない、堤監督が好きじゃない、などの理由があったとしても、騙されたと思って観てほしいと言える一作です。
■公開情報
『truth 〜姦しき弔いの果て〜』
新宿シネマカリテほか全国順次公開中
出演:広山詞葉、福宮あやの、河野知美
忖度出演:佐藤二朗
監督・原案:堤幸彦
脚本:三浦有為子
企画:畑義久(レディバード)
エグゼクティブプロデューサー:鬼頭理三
プロデューサー:広山詞葉、福宮あやの、河野知美
音楽プロデューサー:茂木英興
音楽:魚返明未
制作協力:オフィスクレッシェンド
配給:ラビットハウス
(c)2021 映画「truth〜姦しき弔いの果て〜」パートナーズ