小川紗良、初のフォトエッセイに込めた自分らしさ 「誰かの救いに少しでもなれたら」

フォトエッセイのためにいろんな奇跡が起きていた

ーー「海辺のふたり旅 in 阿久根」は本当に素敵な写真ばかりです。カメラマンの増田彩来さんが、まだ20歳(撮影時)ということもびっくりしました。

小川:とてもフレッシュですよね(笑)。映画『海辺の金魚』では当時79歳の大ベテラン、山崎裕さんに撮影を担当していただいて、今回は私よりも歳下の増田さんで。改めて、年齢って本当に関係ないんだなと。パッションがあるかどうか、一緒に同じものに向かっていけるかどうかなんだなと感じました。山崎さんに映画を撮っていただき、増田さんに今回の写真を撮ってもらって、本当によかったです。

ーー今回の撮影はスタッフも誰も付いていかず、本当に小川さんと増田さんの2人にすべてお任せする形でした。

小川:ありがたいことに(笑)。おかげで自然体な写真を撮ることができたと思います。私の中でも、増田さんの中でも、方向性は最初から一致していて。増田さんは「写真を通して、紗良さんのことを知りたい」と出会ったときから言ってくれていたので、こちらもふたり旅だからこそ、素をさらけ出せたんじゃないかなと。

ーー表紙の写真にも映っている猫は偶然の登場だったそうですね。

小川:そうなんです。私たちが撮影をしていたら自ら歩み寄ってきてくれて。私たちが移動してもずっとついてきてくれたんですよ。他にも、突然の雨降りもいいシチュエーションの中で撮影ができて、このふたり旅はフォトエッセイのためにいろんな奇跡が起きているような感じでしたね。

ーーそして、本書には是枝裕和監督との対談も収録されています。是枝監督が冷静な部分と内なる衝動に突き動かされている部分、その両方を小川さんは持っていると評しているのが印象的でした。

小川:久々にお会いして正面からお話させていただいて、背筋が伸びる思いでした。私はちょっと俯瞰して物事をみがちな部分はあるのですが、その一方で「これがやりたい!」となると周りを見ずに動いてしまう瞬間がありまして。。

ーー保育士の資格を取ったり。

小川:そうですね。自分の中では突然ではないんですが、周りからするとなぜ急に?みたいなところって確かにあるかもしれません(笑)。いろんなものに手を出さずに、何かひとつに絞って極めることにも憧れがあるのですが、私は飽き性なところもあるので、いろんな選択肢がある方が自分に合っているのかなと。コロナ禍で状況が一変してしまったときも、その選択肢の多さが自分を助けてくれました。

ーー映像作家として、役者として、そして文筆家として、これからも小川さんの多彩な活躍が楽しみです。

小川:映画を撮るとなるとかなりの労力が必要ですが、書くことはひとりでもできるので、今後もコツコツ続けていきたいと思っています。小説でも、エッセイでも、これからも書き続けていきたいですね。

■書籍情報
『猫にまたたび』
著者:小川紗良
発売中
ISBN:978-4-909852-22-9 C0076
仕様:B5変形/152ページ
定価:2,970円(本体2,700円+税)
出版社:株式会社blueprint
発売元:blueprint book store、全国の書店・ネット書店
特設サイト:https://blueprint.co.jp/lp/ogawasara-nekonimatatabi/
blueprint book store:https://blueprintbookstore.com/items/618a37c99dbfee5178b09e6d

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