『最愛』岡山天音演じる刑事・藤井の謎を考察 考えられる2つの可能性

 いよいよ12月17日に最終回を迎える、吉高由里子主演のTBS系金曜ドラマ『最愛』。最終回を前に、岡山天音演じる刑事・藤井による、松下洸平演じる刑事・宮崎大輝が真犯人と匂わせる発言に衝撃が走った。

 事件が起きた15年前の藤井(岡山天音)は、白山大学2年生の陸上部員で、大輝(松下洸平)の1年後輩。梨央(吉高由里子)の父・達雄(光石研)が寮夫を務める陸上部の男子寮で暮らし、梨央とは家族のように親しくしていた。卒業後は富山県警に就職して刑事となり、連続殺人事件の捜査で大輝をサポートし、唯一心を許して話せる存在でもある。

 第8話のラストで、“昭(酒向芳)殺害事件”に関わる記念品のペンをめぐり梨央と電話をしていた大輝の前に突如現れた藤井。「なんでおるんや、お前」と驚く大輝。すると藤井は「先輩、誰と電話しとったんですか?」と、感情が読みづらい不気味な表情で声をかける。

 続く第9話で、大輝は親しげに「仕事でこっち来たんか?」と聞くと、藤井は「ちっと……あの」と間を置き、どこか苦笑いした表情で「それじゃ」と何かを言いかけ去っていく。疑いの目か、これから人を殺めにいく別れの挨拶か、全く読めない顔だ。これまで接点がないと思われていた、梨央の母で真田ホールディングス社長・梓(薬師丸ひろ子)と藤井が接触していたのを目撃する大輝。その後に藤井を呼び出し「真田梓が出頭するそうや、彼女と会っとったやろ」と尋ねると、逆に「俺も先輩に聞きたいことあったんです。15年前、あの台風の夜、本当は事件の現場におりましたよね?」と聞き返す。すると無言で下から睨みつけるような視線を送る大輝の姿で終わった。もしそれが本当なら、お互い事件現場にいたことになるが、なぜ富山県警の藤井が、捜査一課から杉並西署・生活安全課へ異動した大輝の前に現れたのか。

 物語の発端である15年前に失踪した大学院生・渡辺康介(朝井大智)を巡る事件は、当時高校生だった梨央が、康介に薬を飲まされ、襲われるのを見ていた弟の優(幼少期:柊木陽太)が康介をペグで刺し、後からその現場に遭遇した達雄が死体を運び埋めた。優が9歳の時に起こした事件なので罪に問われないことで決着がついたが、死体を運び埋めるという作業だけでなく、死体を遺棄する前に梨央と優を布団に寝かせるという作業は、協力者がいると考える方が普通だろう。また、第5話で達雄が現場に遭遇する回想シーンで、人影らしいものが映り共犯者を匂わせている。 

 事件の日、大輝は姉の結婚式に出席するのに駅まで達雄が車で送っているが、台風で戻ってきた大輝をピックアップした可能性もある。死体遺棄は手伝わなくても、梨央を家に帰したのが大輝で、その姿を藤井が見かけても不思議ではない。後に陸上部の長嶋(金井成大)が薬物使用で逮捕され、マスコミが駆けつける中、帰ってきた優を大輝がエスケープさせるように連れ出した時、藤井は何とも言えない苦々しい顔で見つめていたのは、真相を知っていたからなのか。ただ共犯者だとすると、死体と一緒にあったお守りについて追求したり、過去を暴くようなことをするかという疑問がある。それを考えると、藤井が大輝に言った言葉は誘導尋問の可能性がある。大輝の上司で、異動を命じた警視庁捜査一課係長・山尾(津田健次郎)は、大輝を捜査一課から外し、泳がせることで情報を得ようとし、大輝の相棒だった桑田(佐久間由衣)に大輝を利用しろと命令している。または、協力者や内通者として疑っているともとれる。そこで、藤井が山尾に呼ばれ大輝を内偵し、梓に対しても接触したという考えもできるが、逆に大輝に警告をしに来たともとれる。

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