『二月の勝者』柳楽優弥の変幻自在ぶりを実感 受験本番に向けて物語はヒートアップ

 キャラクターたちの本音や成長が描かれた『二月の勝者-絶対合格の教室-』(日本テレビ系)第8話。受験本番に向け、物語は熱を帯びていく。

 電話越しに聞こえた島津家のトラブルに、居ても立ってもいられず駆けだした黒木(柳楽優弥)。母親(遠藤久美子)を守るため堪えきれずにぶつかっていった順(羽村仁成)を見て、父親(金子貴俊)が脅迫まがいの通報をしたという結果だったわけだがーー心配や怒り、さまざま湧き上がる感情を覚えつつも、塾講師として引くべき一線をもどかしく思う黒木。ポーカーフェイスを崩すまい、声を荒げまいとする緊張感にむしろ、このごろ隠しきれなくなってきた人間味を感じる。自身の行動を省みたのちに切り替えると、佐倉(井上真央)には塾長の顔を見せ、無料塾・スターフィッシュの生徒からの電話には“クロッキー”の優しい声で応える。黒木蔵人のいくつもの表情・感情をおもしろいほど瞬時に演じ分ける柳楽優弥には驚かされるばかりだ。

 島津家の出来事を受け、桜花ゼミナールの講師たちは改めて自分たちが介入できる境界線について考える。線引きがあることを分かった上で「島津くんを守ることはやっていいことだと思う」という佐倉の言葉に、頷く講師たち。子どもたちを預かる立場、なにより“大人”としてできることを、という考えに佐倉の成長を感じた。

 一方で黒木は、自身と子どもたちとの線引きが曖昧になっていた。桜花の生徒一人ひとりに合った受験校のリストアップ、受験プランを作成しながら、スターフィッシュの生徒たちにも向き合う日々。ついに過労で倒れてしまうが、倒れてなお自分よりも生徒たちを優先しようとする。

 連絡を受けて駆け付けた灰谷(加藤シゲアキ)は、全てを自分ひとりで背負い、何も言ってくれない黒木に腹をたて、追い回すようなことをしたと佐倉に打ち明ける。憧れの人だからこそ頼られたい、話してほしいという思いがあっての行動だろうが、黒木が灰谷を信頼していることは第7話のやりとりから充分に分かる。黒木に対し複雑な思いを抱えながらも、ピンチの際にはこうして駆けつけ、佐倉を先に帰して病院に居残ろうとする灰谷。こんな2人の関係をきっと「友人」と呼ぶのではないだろうか。

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