『SUPER RICH』バランスを崩した関係性はどう転ぶ? 空と今吉の悲恋の切なさ

 優(赤楚衛二)と衛(江口のりこ)の関係は結婚も目前かと思われたが、その裏では、衛に好意を寄せていた空(町田啓太)と今吉(中村ゆり)が複雑な心境を抱えていた。

 『SUPER RICH』(フジテレビ系)の第7話では信頼と裏切りが衛の人生を取り巻き、ますます波乱の展開へと導かれていく。ビジネスという繋がりを通してお互いの人生までもが交錯していく様子が巧みに描かれ、スリースターブックスにまたも転機が訪れそうな予感が。

 事業が軌道に乗りだしたスリースターブックスは無事に次のステップへと歩を進める。会社の移転話まで持ちあがり、元のバーカウンター付きのオフィスに戻れるかもしれないと皆は盛り上がっていた。だが順風満帆かと思われた矢先のこと、スリースターブックスの配信する漫画が人気漫画家の野田(山口勝平)の新作の盗作であることが発覚したのだ。作品が碇(古田新太)のパソコンからアップロードされたことに加え碇の持つ企画や人脈からも、疑惑の目はおのずと碇に向かう。しかし真の裏切り者はアルバイト社員の城戸密(結木滉星)と発覚。事態は碇と野田の信頼関係により修復するも、スリースターブックスの信頼関係はもはやバランスを崩しているように見受けられた。

 まぶしいほどに幸せそうな衛と優の姿に微笑ましく思うのも束の間、空と今吉のことを考えると胸が痛まずにはいられない。ふたりはずっと衛に想いを寄せていたものの、衛の心を掴めなかった。そうした中で、空は衛にハッキリと想いを伝え、その恋が実らずとも「自分は衛のそばにいたい」と意志を固めていたが、もう一方の今吉にしてみれば気持ちさえ伝えることができなかった悔しさや辛さもあっただろう。優と衛が仲睦まじく過ごす姿を見て、人知れず涙を流す今吉の心の内を思うと、苦い恋の苦しみが湧き上がってくるようだ。これまでも衛の仕事の良きパートナーとして、強い信頼関係を築いており、親友でもあった今吉。どんな時も衛を支え、仕事に対してもひたむきに努力してきた姿は、私たちにも十分なほどに伝わっていた。その今吉が空に対して「どうして割り切れるの?」と切ない瞳を向けた時、その心が既に折れかかっていたことを知る。そして彼女はスリースターブックスを去るという決断をした。優と衛の幸せな姿と裏腹な空と今吉の悲恋の切なさは、恋の成就が表裏一体であることを物語る。

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