東出昌大が“狂わない”ために走り続ける主人公に 『草の響き』本予告公開
10月8日に公開される映画『草の響き』のメインビジュアルと本予告が公開された。
本作は、2010年の『海炭市叙景』(熊切和嘉監督)、2014年の『そこのみにて光輝く』(呉美保監督)、2016年の『オーバー・フェンス』(山下敦弘監督)、2018年の『きみの鳥はうたえる』(三宅唱監督) を生み出してきた、函館の映画館シネマアイリス製作の佐藤泰志原作、五度目の映画化作品。2020年が佐藤の没後30年にあたることから、その記念として製作された。
心に失調をきたし、妻とふたりで故郷函館へ戻ってきた和雄。病院の精神科を訪れた彼は、医師に勧められるまま、治療のため街を走り始める。雨の日も、真夏の日も、ひたすら同じ道を走り、記録をつける。その繰り返しのなかで、和雄の心はやがて平穏を見出していく。そんななか、彼は路上で出会った若者たちと不思議な交流を持ち始めるが……。
心を病み、ランニングに没頭する和雄役を演じたのは、『寝ても覚めても』以来3年ぶりの主演作となる東出昌大。慣れない土地で不安に苛まれながらも夫を理解しようと努める妻・純子役で奈緒、和雄に寄り添う友人役で大東駿介、精神科医役で室井滋らが共演に名を連ねた。『空の瞳とカタツムリ』『なにもこわいことはない』の斎藤久志が監督を務めた。
メインビジュアルには、和雄が両腕を抱えてしゃがみ込んでいる姿がメインに。下段には、和雄の妻・純子が北海道の海をバックに、愛犬ニコと車を走らせているカットが配置され、左上には「心の震えを感じながら、僕たちは、駆けだそうとしている」というキャッチコピーが配置されている。
あわせて公開された予告編は、ビジュアルと同じく、うずくまる和雄のシーンから幕を開ける。どこにも行くことができずに悲痛な表情の和雄だが、室井滋演じる精神科の医師に勧められて、治療のため街を走り始める。朝も夜もとにかく走り続けるカットが続くなか、「狂ったように走ってるんだから」という純子に対して「狂わないように走ってるんだよ」と和雄は告げる。また、和雄と純子、そして大東駿介演じる友人の研二が、ベランダで空を見上げる場面では、産まれてくる子供の為の洋服が干されているのが分かる。続けて「自分の子供には、僕みたいになってほしくない」という和雄の独白が。そして和雄をじっと見つめる純子と、それを苦しそうに見つめ返す和雄のクローズアップが続く。そしてラストには、和雄が服を脱ぎ捨て、フェンスを軽々と超え、裸足で草に上に降り立つ足のアップで予告編は終わっている。
■公開情報
『草の響き』
10月8日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町/渋谷ほか全国順次公開
出演:東出昌大、奈緒、大東駿介、Kaya、林裕太、三根有葵、利重剛、クノ真季子、室井滋
監督:斎藤久志
原作:佐藤泰志
脚本:加瀬仁美
製作:函館シネマアイリス
配給:コピアポア・フィルム、函館シネマアイリス
2021年/116分/ビスタ/カラー/5.1ch
(c)2021 HAKODATE CINEMA IRIS
公式サイト:www.kusanohibiki.com