『#家族募集します』にじやの決断は? 蒼介が抱える2つの家族への葛藤

 “血縁関係を超えた”家族は、血のつながる“本当の”家族のために身を引くべきなのか――。

 金曜ドラマ『#家族募集します』(TBS系)がクライマックスを迎えている。SNSの「#家族募集します」のハッシュタグに導かれ、奇跡のような出会いを果たしたお好み焼き屋にじやの家族。楽しいことはもちろん、にじやの店主・銀治(石橋蓮司)が倒れるという大きな不安と心配も分かち合い、これまで8話を通じて一つひとつ乗り越えてきた。その日々は、家族写真の思い出のない蒼介(仲野太賀)にとって求めていたもの。

 だが、奇しくも蒼介がにじやの家族を見つけたのと同じように「#家族探してます」のハッシュタグによって銀治の絶縁状態だった家族が見つかる。「にじやは自分の代まで」と心に決め、息子夫婦には迷惑をかけまいとしていた銀治。しかし、昔ながらの職人気質な銀治と息子の親子は、お互いの素直な気持ちを伝え合えずに仲違いをしてしまったのだという。

 それから6年。銀治の息子は新天地で自分の店にチャレンジするものの、うまくいかずに転職したと、妻の久実子(ヒコロヒー)が明かす。そして、できることならばまた以前のようにここでみんなで暮らしたい、とも。そんな本音を聞いた蒼介は1人胸を痛める。

 優しくて世話焼きな性格の蒼介のこと。何よりも他ならぬ自分自身が家族に憧れた過去から久実子の今の悲しみが痛いほどわかるのだろう。そして目の前の人が帰りたがっている居場所=にじやの2階に、自分たちがいるということ。自分が求めてきた家族を手放せば、すぐにでも銀治の家族は元通りになれるのではないか。そんなことを1人で抱え込んでしまうのだった。

 時をほぼ同じくして、住まいは別にしつつもにじやの家族の一員として絆を深めてきた黒崎親子にも、“サブスク家族”の終わりの靴音が近づく。黒崎(橋本じゅん)の元妻・黛倫子(平原綾香)が予定よりも早めにいつき(板垣樹)を引き取りに行くとの連絡が入ったのだ。

 何気ない日々が特別な1日になる。そんなキラキラとした毎日を生きてきたにじやの家族だが、血のつながった“本物の家族”にその場所を譲らなければらないのだろうか。いつきは微妙な距離感を乗り越えた父と血縁関係のない弟や妹との笑顔あふれる時間よりも、やはり本当の母のもとへ引き取られたほうが幸せなのだろうか。

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