『TOKYO MER』と『MIU404』の共通点 コロナ禍で生まれたエンタメの真髄
そういえば、当初自身のMER配属に不満を募らせていた『TOKYO MER』の研修医の比奈(中条あやみ)は、最初の頃のきゅうちゃんの姿とも重なる。両作ともに、全員がここに集まった偶然は必然で、またそれはそれぞれの俳優が作品内での役柄に出会えたことも素敵な必然だったと思わせてくれるような、そんな力強さが両チームのチームワークに満ち溢れている。
それぞれの組織のトップを担っているのが女性リーダーである点も興味深い。MIU率いる隊長の桔梗(麻生久美子)も、TOKYO MERの発起人である東京都知事・赤塚(石田ゆり子)も、共にいまだ男性社会である警察、政治の世界の中で、足を引っ張られ、互いに組織内の勢力争いに多分に利用されそうになりながらも、潔く決断し、部下の前では全く迷いを見せない姿がカッコいい。その一方でこれまで彼女らがどれだけ不必要な苦労を強いられてきたのか、それを一人で抱え込んできたのかが暗に語られる部分でもある。『TOKYO MER』では赤塚の対抗馬として描かれる厚生労働大臣・白金(渡辺真起子)も実は医療技官だったことが前話で明かされたが、きっと彼女にも人知れず犠牲にしてきたものや葛藤があったはずだ。
両作ともに、この未曾有のパンデミック禍がただでさえ人々の間に様々な対立構造を生み出しやすくなっている中にあって、誰もが抱える弱さを切り捨ててしまわず、弱さも肯定した上でそっと寄り添ってくれる。このコロナ禍の鬱屈とした気持ちから束の間彼らが連れ出してくれる。そんなエンタメの真髄を、希望をずっとずっと灯してくれている。
■放送情報
日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:鈴木亮平、賀来賢人、中条あやみ、要潤、小手伸也、 佐野勇斗、佐藤栞里、フォンチー、佐藤寛太、菜々緒、鶴見辰吾、橋本さとし、渡辺真起子、仲里依紗、石田ゆり子
脚本:黒岩勉
プロデューサー:武藤淳、渡辺良介、八木亜未
演出:松木彩、平野俊一
製作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TokyoMER_tbs/
公式Twitter:@tokyo_mer_tbs