『おかえりモネ』菅波が「ありがとう」に込めた想い 百音の手当てが心を解きほぐす

 百音(清原果耶)は菅波(坂口健太郎)の過去の苦い経験を知る。苦い経験を語った菅波の背中を百音は優しくさすった。NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』が第14週初日を迎え、百音の「手当て」が菅波の心を解きほぐしていく。

 百音に背中をさすられ、菅波は「人の手というのはありがたいものですね」と口にした。菅波の顔つきには過去への無念さが滲んでいたが、百音の「手当て」で心が癒されているようにも見えた。少しして、菅波は「大丈夫です」と言う。百音は「すみません」と手を離すが、菅波は「そういう意味じゃない」と百音を振り返った。菅波の口からパッと出たその言葉と、その後しばらく百音を見つめていた視線から、これまで百音と遠からずも近からずな距離感を保ってきた菅波の素直な気持ちが垣間見える。去り際、忘れ物を手渡す百音に菅波が言った「ありがとう」の言葉。「ありがとうございます」ではなく「ありがとう」と言ったことで、忘れ物を手渡してくれたことに限らず、百音に感謝を伝えているのがわかる。

 数日後、朝岡(西島秀俊)はこれまでにもまして地方を飛び回り、スポーツ気象の仕事を楽しんでいる。その様子は莉子(今田美桜)や内田(清水尋也)だけでなく、テレビ局の高村(高岡早紀)や沢渡(玉置玲央)にも伝わっているようで、彼らは朝岡がキャスターを辞めるのではないかと考えていた。百音たちは朝岡が「私、近い将来、気象キャスター辞めようと思ってます」と話していたことを思い出す。

 そんな中、ある地域で土砂災害が発生。緊急速報で土石流の発生が伝えられると、朝岡の険しい目つきが大きく映し出された。朝岡の切迫した雰囲気に百音たちも不安そうな表情を浮かべる。

 1週間後、朝岡はスポーツ気象に専念するため気象キャスターを降りることを報告する。朝岡の後任となった莉子は大喜び。そして莉子が担当していた中継キャスターに百音の名前が挙がった。中継キャスターになることに迷いがある百音だが、電話の向こうにいるサヤカ(夏木マリ)は「自分の進む道だ。自分で考えで決めなさい」と背中を押す。そこでサヤカは朝岡が登米に来たことを口にするが、何かを言い淀んだ。その後、テレビ局に出勤した百音は、いつもと様子が違う朝岡を目にする。

 土砂災害が発生した時、朝岡は終始厳しい面持ちだった。人的被害はなかったと報じられた時も「命が守られたのはよかった。でも生活があるんだ」と依然として厳しい視線で入ってくる情報に目を向けていた。朝岡が気象キャスターを降りることを報告する前に登米に足を運んだのも、また別の意味がありそうだ。第14週のタイトルは「離れられないもの」。朝岡にはまだ、簡単には離れられない苦い経験が残されている気がする。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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