『ボイスII』真木よう子演じる橘が鍵を握る? 気になる“重藤班長=白塗り男”説

 唐沢寿明主演の日本テレビ系土曜ドラマ『ボイスII 110緊急指令室』に出演している真木よう子。前作にも増してダークな内容となっている今作でも、唐沢との名コンビぶりを見せている。

 真木よう子に刑事と聞いて思い出すのが、彼女の出世作である2007年の『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ)での笹本絵里役。男勝りの性格と度胸を持ち、破天荒な活躍で存在感を発揮した。多くを語らずとも、表情や仕草だけで人の視線を惹きつけるところが、真木の魅力だろう。もちろん、アクションやクールな佇まいだけではない。日本アカデミー賞をはじめ各賞を総なめにした2013年の映画『さよなら渓谷』での内縁の妻役では、女性の力強さと弱さの両面を見事に表現し、同年公開の福山雅治主演『そして父になる』ではうってかわって、複雑な環境でも前向きさを失わず、庶民的な子だくさんの母役を演じるなどキャラクターに囚われない名演を各作で見せ、高い評価を獲得してきた。いずれも家族をモチーフとした愛憎劇・シリアスな人間ドラマという共通点はあり、真木がもっとも力を発揮できるフィールドと言えるかもしれない。

 『ボイスII』での橘は、前作よりも増して超人的な音の考察力で、犯人の追跡だけなく仲間の健康状態まで分かってしまうほど。ただ完璧すぎるからこそ、現場の追跡が指示通りにうまくいかなかったり、ミスリードに釣られることで、もどかしさが何度も生まれる。橘は初回から、交際相手でもあったECUの2代目班長・重藤雄二(増田昇太)が、自身の指示で白塗り男を追跡するも焼き殺される、という悲劇を背負うことになる。初回の「班長はまだ生きてる、早く助けて! 生きてます!」と心を乱し、感情をあらわに泣き叫ぶ姿に、絶望感と悲壮感が痛いほど伝わってきた。そうした複雑な感情の演技をしながら、指示という専門用語も入り混じる長台詞で、物語の進行係としての役割も担っている真木は大変な役どころだと言える。

 本作では、白塗り男が何をしたいのかが最大の問題。「この世の中には、火を点けさえすれば利用できるものが多い。憎しみの中で生きている人たちは特にだ。スマイル」と、人の心の隙間に入り込み、洗脳、犯罪をけしかけていく白塗り男は一見、社会で裁かれていない人物を成敗するダークヒーローのようにも見える。一匹狼だった唐沢演じる樋口に対して「自己を解放しろ」と執拗に言っているだけに、権力を握る警察の上層部に身内が殺されたなど、何かしら恨みを持っているのかも知れない。

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