『あな番』『共演NG』にも出演 秋元康作品に登場する『漂着者』キャストに注目

 『漂着者』でヘミングウェイを引き取るのがローゼン岸本(野間口徹)である。生活困窮者を支援するNPO法人しあわせの鐘の家を主宰する岸本は、司祭のような出立ちにぎこちない表情や視線、奇妙にセットされた髪型など見るからに怪しいオーラを発している。『あな番』で野間口が演じたのは会社社長の細川朝男。温厚で人当たりが良く手塚翔太(田中圭)から「アニキ」と慕われる細川には、手塚菜奈(原田知世)の夫という裏の顔があり、菜奈にストーカーまがいの行為を繰り返す。ふとした仕草や表情に狂気をひそませる演技は『漂着者』でも健在。ヘミングウェイの今後を占う上で、岸本の動向から目が離せない。

 野間口と同じくバイプレイヤーとして知られる岩谷健司は、『漂着者』で捜査一課の佐々木課長を演じている。本作の佐々木はコメディ・リリーフ的な役回りで、新聞記者の新谷詠美(白石麻衣)にいいように利用される姿が笑いを誘う。長らく舞台を中心に活動していたが、近年、映像分野に進出する中で、『共演NG』ではドラマ部部長の戸沢を演じた。市原やスタッフに振り回されながら、ドラマ制作の内幕やテレビ局員の本音をユーモラスに表現。組織のしがらみを感じさせる独特のテイストでドラマの画づくりに貢献した。

 この他にも『漂着者』には『共演NG』で芸能事務所社長の野本を演じたリリー・フランキーが住職の深見役で、『マジすか学園』シリーズ(日本テレビ系ほか)や『警視庁 ナシゴレン課』(テレビ朝日系)で秋元作品と縁がある越村公一が予知能力の鍵を握る後宮教授役で出演しており、随所でなじみのある顔を目にすることができる。『あな番』、『共演NG』、コロナ禍の『リモートで殺される』(日本テレビ系)など、ここ数年、秋元が企画した作品は限定的な舞台設定で登場人物の間に起きる化学反応を描いてきた。『漂着者』もこうした作品群の一つとして位置づけられる。演じる側はメタフィクション的な設定を理解し、臨機応変に対応することが求められる。共同作業者である俳優陣が、どのように本作の特異な世界観を形にするか注目したい。

■放送情報
『漂着者』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~24:15放送
出演:斎藤工、白石麻衣、船越英一郎、リリー・フランキー、戸塚純貴、野間口徹、橋本じゅん、生瀬勝久、太田奈緒、隅田杏花、吉田志織、橋本じゅん
企画・原作:秋元康
脚本:神田優、ブラジリィー・アン・山田
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
演出:本橋圭太(アズバーズ)、山本大輔(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
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