『ワイルド・スピード ICE BREAK』は新章に繋がる重要作 原点へのオマージュも
レティをはじめ魅力的な女性キャラクターが活躍するのも本作の特徴だ。シリーズ初の女性ヴィラン(悪役)、サイファーを演じたのはシャーリーズ・セロン。金髪のドレッド・ヘアというヴィジュアルもインパクトがあるが、人質をとってドムを苦しめ、さらに動けないレティの前でドムに濃厚なキスをしたりと冷酷非情な悪の女王ぶりを発揮。また、『スーパーコンボ』でデッカードの母親、マグダレーン役で出演したヘレン・ミレンが本作でメインシリーズに合流。デッカードが頭が上がらないママを貫禄たっぷりに演じていて、今後のレギュラーになりそうだ。
そして、何と言っても見どころはカーアクション。映画のオープニングでハバナの路上で繰り広げられるストリートレースは、シリーズの原点にオマージュを捧げているようだ。そして、巨大な鉄球で車を蹴散らしたり、ビルから車を雨のように降らしたりと、趣向を凝らしたカーアクションが次々と登場。クライマックスで潜水艦と氷上で展開するカーチェイスは、捕鯨船が巨大なクジラを仕留めるような壮大な映像で観客を圧倒する。
ディーゼル、ジョンソン、ステイサムの見せ場もそれぞれの個性に合わせて考えられている。ホブスが刑務所を脱獄するシーンでは、ジョンソンは看守が撃つゴム弾を強靭な筋肉で跳ね返しながら大乱闘。プロレスラー時代を思わせる無敵ぶりを発揮する。ステイサムは人質になった赤ん坊を庇いながらの銃撃戦で見事な動きを見せて、そこにユーモアを挟み込むことでデッカードのキャラを際立たせている。そして、ディーゼルは一触即発の緊張感を漂わせた演技を貫きながら、最後にはリーダーとしての意地を見せて潜水艦に単身挑む。
ドムとファミリーがサイファーの組織と戦う様子は、ワイルドな『ミッション:インポッシブル』みたいなところもあるが、彼らのチームワークと絆が本作ではさらに強調されていた。また今回、ドムとヘレナとの間に子供がいたことが明らかになるが、本当のファミリー(家族)を手に入れたドムは今後どう変わっていくのか。最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』が楽しみだ。
■放送情報
『ワイルド・スピード ICE BREAK』
日本テレビ系にて、7月30日(金)21:00~22:54放送
監督:F・ゲイリー・グレイ
脚本・製作総指揮:クリス・モーガン
出演:ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ナタリー・エマニュエル、エルサ・パタキー、カート・ラッセル、シャーリーズ・セロン、スコット・イーストウッド、ルーク・エヴァンス、ヘレン・ミレン
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