『ラブライブ!』シリーズが長く愛される理由とは? μ'sの成長描いた第1作を解説

 同時に、彼女らの爛漫とした振る舞いや、ある種のコード化されたコミカルタッチな作風は、子供たちやその親世代をもひきつけることになる。2016年からNHKにて第1作『ラブライブ!』が再放送されるようになったのだ。

 その後には『ラブライブ!サンシャイン!!』『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』も放送されるようになった。極めつけは現在放映されている『ラブライブ!スーパースター!!』(以下、『スーパースター!!』)で、TV放映局ではNHK Eテレでのみの放映、そのほかのテレビ局で放映されておらず、第1作ではTOKYO MXなどの4局で放送されていたことを考えると裾野が一気に変化したかのようでもある。これに加えて、20を超える動画配信サイトを通して本作を観れるようになっていることも、忘れてはいけないところだ。

 これは『ラブライブ』シリーズ全般に言えることだが、殴り合って血を見ることもないし、過度なお色気シーンもほとんどない、魔法もなければ銃火器もない。同じくNHKで再放送されたことのある『進撃の巨人』とは真反対のようでもある。

 同時に、音楽と共に歌い踊り、目標と友人らのために努力を惜しまず、時には大きな失敗に挫折する女性の姿が綿々と描かれていく。こうして描かれる喜怒哀楽や情緒は、幼い子供にはダイレクトに伝わりやすいのだろう。アイドルアニメとして『アイカツ!』『プリパラ』シリーズと同じように観ることができているのだろう。

 この軸はブレることなく継承されたことにより、最新作『スーパースター!!』がNHK1局のみになったことへと繋がったのではないだろうか。

 アニメからゲームファンにとってコア層になるだろう10歳代から30歳代での人気だけに留まらず、最もアニメを見ている層である10歳代以下の世代にも好まれやすく、その親世代にあたる20歳から40歳代の世代にもコツコツとヒットしていく。シリーズ第1作はそのキッカケとなり、『ラブライブ!』の作風を知らしめていったのだ。

 最後に、2015年12月の産経新聞とアニメイトタイムスでは、当時のEテレ編成担当者のインタビューが掲載されている。約6年を経過したいまにしても、本作が国民的にジワジワとヒットしている理由としても十二分に通じるのではないだろうか。

『ラブライブ!』は、地上波未放送の地域もありますし、見たいと思うファンも多いはず。『名前は聞いたことがあるけれど、どんなアニメなんだろう?』と思う方にとっても、有意義なのではないでしょうか(引用:【TVチェック】NHKが他局アニメ「ラブライブ!」を再放送するのは、もしかして… 「μ’s」も紅白出演へ(1/4ページ) - 産経ニュース

私自身は50歳に近いのですが、仲間や友情など、若い頃の熱い気持ちを思い出しました。現在、リアルタイムで青春している人にとっては一層響くと思いますし、このことが多くの人を引きつける理由なのではないでしょうか(引用:『ラブライブ!』 『けいおん!』の理由をNHKに聞いてみた | アニメイトタイムズ

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