ザ・キュアーの楽曲が影響? 『Summer of 85』タイトル誕生秘話をF・オゾン監督が明かす

 8月20日に全国公開される『Summer of 85』のタイトル誕生秘話をフランソワ・オゾン監督が明かした。

 本作は、オゾン自身が17歳の時に出会い深く影響を受けたエイダン・チェンバーズの小説『おれの墓で踊れ』(徳間書店)を映画化したラブストーリー。1985年の夏、北フランスの海辺の町を舞台に、嵐の海で運命的な出会いを果たした16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーブル)と18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)が愛に溺れ、永遠の別れを知るまでの、生涯忘れられない“6週間の青春”を描く。

 原作小説はオゾン監督が「いつか長編映画を監督する日が来たら、第一作目はこの小説だ」と語るほど思い入れの強い作品だが、オゾン監督はあえて本作のタイトルに原作とは異なる『Ete 85(仏題)/Summer of 85(英題)』と名付けたが、実は当初、「タイトルは『Ete 84 /Summer of '84』だった」と明かす。「その方がよりセクシーで魅力的だと思っていたし、ロバート・マリガンの『おもいでの夏/Summer of '42』への目配せもあった」と語るが、劇中に使用したいと考えていたザ・キュアーの楽曲「In Between Days」の購入に際して、ある問題が生じたという。

「この楽曲購入のためバンドのボーカルであるロバート・スミス氏に連絡をとったところ、彼からは『この歌をあなた方にお売りしたいところですが、この曲は1985年7月にリリースされています。あなた方の映画のタイトルはSummer of 84ですよね』という返事でした。それで私はすぐに個人的に彼に手紙を書きました。『この曲への私の想いは非常に強いものがありますので、あなたのために映画のタイトルを変えることも辞しません。映画のタイトルはSummer of 85にします』。彼も了解してくれて、映画のタイトルは『Ete 85』になったわけです」

 タイトル以上に劇中曲へのこだわりを貫いたオゾン監督。そこには、原作に忠実になるように映画を撮りたいという強い想いがあったそう。「原作は、とても美しい若者の恋愛のかたちとして提示していた。だからこそ、青春映画の約束事に沿って撮影することが重要だった。少年たちの恋愛に皮肉を一切加えず、世界共通のラブストーリーにした」と語るオゾン監督は、映像化にあたって自身の青春時代に想いを巡らせた。

「『In Between Days』という曲は80年代を象徴する曲でありながら、同時にどの時代にも共通する内容なんだ。すごく軽快な歌だけど、根底に流れるのは哀愁。この曲は、積極的に人生を押し開けようとしてダークサイドも知ることになるアレックスに合っていた。私にはこの楽曲以外の曲は考えられなかった」

 ダヴィドと出会い、今まで知らなかった初恋の喜びと痛みをひと夏のうちに経験するアレックス。そんな純真無垢な少年の心情を優しく彩る曲として、オゾン監督は「In Between Days」に特別な想いを重ねたようだ。

■公開情報
『Summer of 85』
8月20日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:フェリックス・ルフェーヴル、バンジャマン・ヴォワザン、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、メルヴィル・プポー
配給:フラッグ、クロックワークス
原題:Ete 85/英題:Summer of 85/PG-12
(c)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
公式サイト:summer85.jp
公式Twitter/Instagram:@summer85movie

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