『ただ離婚してないだけ』の難役も「演じていて楽しい」 中村ゆりが語る女優の“ときめき”

 7月7日よりテレビ東京ほかにて放送がスタートした北山宏光(Kis-My-Ft2)主演ドラマ『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京ほか)。初回放送当日は、Twitterで「#ただ離婚してないだけ」「#ただリコ」がトレンド上位入りし、第1話の見逃し配信(「ネットもテレ東」「TVer」など)が、テレビ東京の番組で1週間での再生数が歴代2位(187万回)を記録するなど、大きな話題を呼んでいる。

 そんな本作で、徹底した“クズ”役が話題になっている北山演じる正隆の妻・雪映を演じているのが中村ゆりだ。正隆に酷く当たられながらも、それに耐え良妻として彼を支えようとする姿には、視聴者からも同情の声が多く寄せられている。今回、中村にインタビューを行い、雪映の役作りや北山らとの現場の雰囲気、自身の女優生活について語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

北山宏光主演ドラマ『ただ離婚してないだけ』中村ゆりからメッセージ到着!

「“ここまでやるのか!”というくらい攻めたドラマ」

ーー作品のタイトルからは想像もつかない展開に驚きました。中村さんは台本を読んでどのような印象を受けましたか?

中村ゆり(以下、中村):おっしゃる通り、想像していた内容と全然違っていたので、すごくビックリしました。この内容をドラマ化する勇気がすごいなと(笑)。でも本当に台本の内容がおもしろかったので、出演できることがものすごく嬉しかったです。しかも女優をやっていて滅多に出会えないような、ハードルが高い役ではありつつも、やりがいのある役で。ちゃんと務め上げられるかなという不安はありますが、監督もスタッフさんたちも映画界の方たちが揃っているので、本当に映画を撮っているような感覚で現場にいられることがすごく幸せです。

ーー地上波のドラマではなかなか観ることのできないような内容ですよね。

中村:近年の日本のドラマの中では、「ここまでやるのか!」というくらい攻めたドラマになっています。サスペンス要素だけではなく、人間ドラマもすごく深く描かれていて、予測できないような話が繰り広げられていくので、1話も見逃さずに観ていただきたいです。撮影や照明もものすごくこだわっていて、映画ファンの方にも気に入ってもらえるようなドラマになっていると思います。

ーーメイン監督の安里麻里さんとは過去に『呪怨 黒い少女』『劇場版 零~ゼロ~』でもご一緒されていますよね。

中村:お話をいただいてから監督と会う機会があったのですが、その時点で監督の今作への情熱がすごく伝わりました。安里監督はホラーを多く撮られてきましたが、最近は『アンダー・ユア・ベッド』のようなヒューマンな作品を撮られるようになり、今作も人間を描きたいんだ、と。そういった監督の情熱に現場のみんなは突き動かされています。重い内容ではありますが、現場はそれぞれの部署の人たちが、良い作品にするんだと、夢中になって撮影している感じです。

ーー主演の北山宏光さんとは今回が初共演となりますが、実際に共演してみていかがですか?

中村:ご本人も気合が入っていて、いち役者としてすごく真剣に取り組んでいらっしゃるのが伝わってきます。一緒にお芝居をしていても、お互いのお芝居から生まれてくる感情がたくさんあるような気がします。監督にも「何でも言ってください!」とおっしゃっていました。監督の演出にしっかり応えたいという姿勢も、役者さんとして素晴らしいなと思います。

ーー中村さん演じる雪映は、北山さん演じる夫の正隆に酷く当たられながらも、それに耐え良妻として正隆を支えようとする役柄です。日常会話もままならない上に不倫もされるなど、なかなか辛い状況に置かれています。

中村:あれだけ酷いことをされても、正隆への愛はすごく深いんだろうなと感じています。自暴自棄になっている彼に対して、不倫がどうとかではなく、もっと深い愛情で彼の人生を支えてあげたいという気持ちがすごく強いのかなと。私だったら、「うっせーな!」とか言われたら、「うわぁ……」ってなると思います(笑)。でも、夫婦になるくらいの2人ですから、現状はああなってしまっているけれど、きっと幸せな時期もあったはずなので、そういう過去を大事にしながら演じようというのは大切にしています。

ーー正隆みたいな男って、実際どうですか?(笑)

中村:ふふふ(笑)。でも、“今こうだから”っていうことじゃないと思うんですよね。彼の中での屈折もすごくあるし、大きな挫折も経験しているから、ああなってしまっているだけで。彼の本質はきっと今の彼ではないとは思います。雪映はそういう他の側面も知っているから、一緒に悩んでいるんじゃないかなと。皮肉なことにいろんなことが起きて、この夫婦の絆が戻っていくという展開もあり得ることなのかなと思います。

ーー雪映を演じる上で、何か大切にしていることはありますか?

中村:これから雪映も覚醒していくというか、どんどん展開が進んで、雪映本人も変わっていきます。前半パートは正隆が悪い男に映ると思いますが、その中でも私としては雪映を“ただ弱い女性”にしたくなくて。我慢してあげているところや、引いてあげているところは、雪映の強さだと思っているので、そういうところはかなり意識しながら演じています。原作よりも弱い部分があるように見えると思うんですけど、“本当はもっと強いんだ”というところですね。

ーーなかなか過激な描写もふんだんに盛り込まれています。

中村:8割方は大変なシーンですね(笑)。でも、自分自身が「実際はこんなこと思わない」というようなセリフがないのはすごくありがたいです。雑念がないというか、それぐらい役に寄り添えている感覚があるので、大変なシーンの連続の中でも、常に集中できるのは幸せなことだなと。大変な役ではありますけど、雪映のように何か抱えているものが多い役は、演じていて楽しいですね。

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