西島秀俊×内野聖陽、清原果耶×蒔田彩珠……『おかえりモネ』俳優陣の共演歴を追う
最後にこの2人も忘れるわけにいかないだろう。気仙沼の伝説的な漁師で、百音の幼なじみである亮(永瀬廉)の父・及川新次を演じる浅野忠信と、百音の両親をよく知るジャズ喫茶のマスター「トム」こと田中知久役の塚本晋也である。浅野については、朝ドラに出る時点ですでに「事件」と言っても差し支えないだろう。傑出した演技力で唯一無二のポジションを築いた浅野は、『おかえりモネ』第1話の冒頭から、嵐の海に出航する海の男を完璧に演じて強烈なインパクトを残した。
対する塚本は、これまでに『ゲゲゲの女房』、『カーネーション』、『半分、青い。』に出演するなど朝ドラ常連俳優の1人。映画『野火』、『沈黙 -サイレンス-』の極限状態の役作りは記憶に新しいが、監督した『鉄男』、『六月の蛇』、『KOTOKO』が海外の映画祭で受賞し、日本を代表する映画作家としても知られている。塚本と浅野の縁は深い。三池崇史監督の2002年作『殺し屋1』でともにリミッター越えの狂気とバイオレンスを体現し、マーティン・スコセッシ監督作の『沈黙 -サイレンス-』でもオーディションを経て出演を果たした。また、塚本の1999年監督作『双生児 -GEMINI-』に浅野を起用し、2004年作『ヴィタール』の主役に抜てきするなど両者は堅い絆でつながっている。日本映画を担う“盟友”2人の対面が実現するかは現段階で不明だが、仮に相まみえなかったとしても、朝ドラという国民的コンテンツに2人が出演している事実自体に大きな意味がある。
この他にも、百音の同級生役で登場する恒松祐里と朝岡の同僚の気象予報士を演じる森田望智が『全裸監督』(Netflix)シーズン2に出演しており、過去にも、恒松が同じ同級生役の高田彪我と『5→9〜私に恋したお坊さん〜』(フジテレビ系)で共演するなど、細かく探せば、多くの再共演が見つかるだろう。ストーリーとともに俳優陣の足跡に注目することで、さらに味わい深く観ることができるはずだ。
※高田彪我の「高」はハシゴダカが正式表記。
※塚本晋也の「塚」は旧字体が正式表記。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK