『ドラゴン桜』ヒットの立役者は阿部寛だった? 数多くの続編を成功に導くその手腕

 最終回が大いに盛り上がり、まだまだ視聴者の興奮冷めやらぬ『ドラゴン桜』第2シリーズ(TBS系)。4月クールの3カ月間を通して描いた東大専科の生徒たちの成長と、その合格発表に注目が集まるのは、昨今のオーディション番組人気とも通ずるものを感じた。

 『ドラゴン桜』は元々、2005年にTBS系の金曜ドラマ枠で放送され、人気を博した作品である。当時の特進クラスには、今作でも活躍を見せた長澤まさみを筆頭に、山下智久、小池徹平、中尾明慶、新垣結衣、紗栄子など錚々たるキャストが出演していた。加えて桜木の“教え子たち”は今回も強力な助っ人としてドラマを盛り上げ、現・東大専科の活躍と共に作品の話題性を一気に押し上げた。そんな中、『ドラゴン桜』を新旧ともに牽引しヒットに導いた人物こそが、桜木建二を演じた阿部寛だろう。

 『ドラゴン桜』第1シリーズを筆頭に、『TRICK』シリーズ(テレビ朝日系)、『結婚できない男』『まだ結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)、『下町ロケット』シリーズ(TBS系)など、数多くの続編ドラマを持つ阿部寛。『ドラゴン桜』での阿部の役柄は暴走族のリーダー上がりの敏腕弁護士で、バラバラな個性を持つ東大専科の生徒たちをまとめ上げ、大学合格へのノウハウを徹底的に叩き込んだ。個性豊かな新旧生徒に囲まれた阿部は、どこか飄々とした雰囲気、人を突き放したようなシニカルな物言いの中にもじんわりと愛情が滲む芝居で視聴者を魅了していく。この暖かい叱咤激励があってこそ、生徒たちの頑張る姿はより説得力を増していく。

 今でこそ俳優として注目される阿部だが、実はもともとのキャリアは189cmの長身を生かしたカリスマモデルであり、男性向けファッション誌『MEN'S NON-NO』(集英社)の表紙を毎号の様に飾っていた時代があった。モデルを経て、俳優デビューを果たしたのは、人気漫画家・大和和紀の同名作品を原作とした映画『はいからさんが通る』(1988年)。主人公のじゃじゃ馬娘、花村紅緒(南野陽子)の許嫁である伊集院忍役で、その端正なルックスを世に知らしめることに。社交界の花形で女性に大モテの陸軍少尉は当時の阿部のイメージにまさにぴったりの役であった。

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