『恋はもっとDeepに』はまさに“ご褒美回” 海音が倫太郎にもたらしたものを改めて知る
そんな絶対的な安心感で繋がっている皆だからこそ、海音がいなくなってからも年に一度スーパームーンの日にどこからともなく倫太郎が営む海の家に示し合わせたように集ってくるのだ。ほのかな期待を寄せながら願う皆の想いは一つだけれど、それとは別に皆が倫太郎のことを気にかけているようにも思える。自身が営むペンションに“marine sound”なんて名付けてしまう倫太郎を一人にしてしまわまいと。海音を見送ったあの日、思わず倫太郎が泣き崩れてしまったことを長男・光太郎(大谷亮平)と三男・榮太郎(渡邊圭祐)は知っているから。岩場に置かれた貝を見つける度に持ち帰り、大切に飾っている倫太郎の想いに何となく気づいているから。スーパームーンの夜から明け方にかけて一人で思い出を回想する倫太郎に、日が明けてきた頃に「朝ごはんにしましょう」と声をかけてくれる皆がいて、本当に良かった。これも全ては海音が地上にいる間に繋いだご縁で、蓮田家と鴨居研究室の皆が一堂に会するようになったことこそ海音が“そこに確かにいた”生きた証拠だ。
「強く想っていればまた必ず会える」と言い合った2人は「星ヶ浜伝説」をもっとドラマティックに塗り替えた。片時も忘れたことのない相手の、その声が自分の名前を愛おしそうに呼ぶ響きに不意に包まれたとき、主題歌であるback numberの「怪盗」が流れる。「君がいれば僕に不可能なんか無い」と。この春、最高の愛の物語を目撃した瞬間だった。
■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好き。Twitter
■放送情報
『恋はもっとDeepに ―運命の再会スペシャル―』
出演:石原さとみ、綾野剛
脚本:徳尾浩司
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:枝見洋子、畠山直人、鈴木香織(AX-ON)、山口雅俊(ヒント)
演出:鈴木勇馬
主題歌:back number 「怪盗」(ユニバーサル シグマ)
(c)日本テレビ系
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