『ドラゴン桜』“秘密兵器”細田佳央太の能力が開花 受験ドラマに登場する天才キャラの意味

 『ドラゴン桜』(TBS系)第5話。桜木(阿部寛)が指導する東大専科で、目下の課題は生徒の確保だ。5人の東大合格者を目標に掲げる専科のメンバーは現在4人。専科の存続を賭けた藤井(鈴鹿央士)の対決で、勝負の鍵を握ったのは桜木が「秘密兵器」と称する5人目の生徒だった(以下、ネタバレを含む)。

 東大専科と一流大学コース、勝った方が存続を許される2回目の勝負で使われたのは大学入学共通テスト。2021年度から導入され、従来のセンター試験を大幅に見直した共通入学試験だ。秀才の藤井を相手にして勝ち目の薄い東大専科に、桜木は原健太(細田佳央太)をスカウトする。しかし発達障害を持つ健太の成績は学年最下位。水野(長澤まさみ)や担任の田村(山田キヌヲ)は桜木の真意をいぶかしむ。

 無邪気に虫たちと戯れる健太の姿は、これまでも随所で取り上げられてきた。結論から言うと健太は天才だった。発達障害を抱える人特有の鋭敏な感覚を健太も持っている。聴覚的短期記憶が弱く教室での学習には遅れを取るが、目から記憶したものは絶対に忘れない。桜木が健太の能力に気付いたのは校庭での会話からだった。アリを観察していた健太は、アリが巣に蓋をした日時と天候の変化から雨が降る時間と法則を予測。高度な情報処理と論理的思考力を秘めた健太に、桜木は可能性を見出していた。

 凡人に東大へ行くための受験テクニックを伝授する『ドラゴン桜』に現れた本物の天才。このことが持つ意味は2つだ。受験ドラマという触れ込みから、私たちはつい画一的な学習指導を連想しがちである。しかし指導方法を超えてくる人間は必ずいて、そのことは唯一絶対の受験テクニックがないことを意味する。また天才と言っても人であり、才能を伸ばすのはあくまで人間同士の触発だ。健太の場合は楓(平手友梨奈)や瀬戸(高橋海人)たち東大専科の仲間の励ましによって能力が開花したが、その陰には健太を見守ってきた田村や幼なじみの麻里(志田彩良)の存在もあった。

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