『きれいのくに』第6話でタイトルの真意が明らかに 見上愛が見せたこれまでにない微笑み

 よるドラ『きれいのくに』(NHK総合)第6話は、第4話のれいら(岡本夏美)、第5話の誠也(青木柚)に続き、凜(見上愛)が中心人物として描かれる。

 ずっと謎だったのは、このドラマタイトル「きれいのくに」が何を指すかだった。公式サイトにもある「ほとんどの大人が“同じ顔”をした不条理な国」。その社会全体を「きれいのくに」と呼ぶのだと解釈していたが、ようやくこの第6話で「きれいのくに」の真意が明かされる。

 誠也が自分に嘘をつき、れいらと会っているところを目撃してしまった凜はパパ活に手を出してしまう。そこで出会ったのが千葉(山中崇)だった。整形者を「ネジ」、非整形者を「プレーン」と呼ぶこの世界では、ネジが圧倒的マジョリティーにある。れいらがパパ活で相手にしていたのもトレンド顔のネジ。誠也や凜の両親も整形者である。けれど、凜の前に現れた千葉は大人には珍しく美容整形をしていないプレーン顔。同じマイノリティー側である千葉に気を許し、凜は自身のコンプレックスを話し始める。そこで千葉が口にしたのが「君さ……裏整形って興味ある?」という誘いだった。

 そこから凜が千葉に連れて行かれるのが「きれいのくに」だ。世間では風当たりの強いプレーンが秘密裏に集まるクラブ。そこには映画の撮影で現在学校に訪れている小宮(平原テツ)や安藤(小野花梨)の姿もあった。小宮と安藤が言うには、千葉はパパ活のサクラで裏整形に興味を見せた相手を「きれいのくに」に連れてくる警察で、千葉もプレーンという顔を選んだことから組織の中では立場がない人間。つまり、「きれいのくに」はコンプレックスを持った人間が自分たちを「きれい」と肯定する「くに」だとも捉えられる。

 「きれいのくに」の会員カードも作り、拠り所を見つけた凜だったが、安藤から思いがけない言葉をかけられていた。「私は裏整形してるよ」という、危険な誘いだ。一度気を許した相手からの言葉は凜の心にずぶずぶと浸透していく。「嫌なとこ直したらさ、やっぱポジティブになるじゃん」「本当に気になるんだったら、またここおいでよ」ーー安藤の誘惑に凜は再び「きれいのくに」に足を運ぶ。そこで安藤に見せたのはこれまでにない、凜の怪しげで不敵な笑みだった。結局は、こうした裏整形が蔓延る場所だということも踏まえると「きれい」の意味もまた反転していく。鮮やかなタイトル回収とはいかないのが、この『きれいのくに』らしさである。

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