“闇くじ”に翻弄される人々の姿とらえた『走れロム』予告編 公開日は7月9日に変更
6月11日より公開が予定されていた映画『走れロム』の公開日が7月9日に変更となり、合わせて予告編が公開された。
第24回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門(新人監督コンペティション部門)最優秀作品賞を受賞した本作は、賑わうサイゴンの裏町を舞台に、孤児の少年ロムが夢を叶えるため、巨額の当選金が手に入る“闇くじ”に挑む姿を描いた人間ドラマ。監督を務めたのは、本作が長編デビュー作となった新鋭チャン・タン・フイ。
社会主義国家のベトナムにおいて顕在化させたくない社会問題となっている“闇くじ”を描いたことで、当局の検閲が入り修正を余儀なくされる。そうした苦境を経て迎えた本国ベトナムでの公開は、ロングランヒット中だったクリストファー・ノーラン監督作『TENET テネット』を興行成績で上回るヒットを記録した。ミニシアター文化のないベトナムで、インディペンデント映画が商業的にも成功を収める快挙となった。
過酷な環境下、必死に生き抜く主人公ロムを演じたのは、監督の実弟でもあるチャン・アン・コア。『青いパパイヤの香り』『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユンがプロデューサーとして参加し、編集はアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作品を手がけるリー・チャータメーティクン、音楽は河瀨直美監督作『朝が来る』など国際的に活躍するトン・タット・アンが担当。撮影監督には、フイ監督が絶対の信頼を置く若手、グエン・ヴィン・フックが選ばれた。
公開された予告編では、ハイリスク・ハイリターンの違法くじの予想を立て、賭け屋との橋渡し“走り屋”を生業としている孤児の少年ロムの姿が。同じ境遇に立つ同業者のライバルフックと激しく競い合いながら、ホーチミンの狭い路地や大通りを縦横無尽に駆け巡る。ベトナムでは庶民の生活の一部になっている“闇くじ”に翻弄される人々の様子も映し出されている。
■公開情報
『走れロム』
7月9日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督:チャン・タン・フイ
出演:チャン・アン・コア、アン・トゥー・ウィルソン
プロデューサー:トラン・アン・ユン
配給:マジックアワー
提供:キングレコード
2019年/ベトナム/ベトナム語/カラー/DCP/2.39:1/79分/日本語字幕:秋葉亜子/原題:Rom
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