椎名桔平、『桜の塔』で見せる底知れない器の大きさ 漣×爽×優愛×富樫の四角関係も勃発

 『桜の塔』(テレビ朝日系)第3話では、警視正への昇進に伴う異動で、警視庁警務部の監察官となった上條漣(玉木宏)の新たな物語が幕を開ける。

 「警察の中の警察」と呼ばれる監察官は、警察内の不正を取り締まる重要な任務。そんな漣に与えられるのが、暴力団から押収した拳銃を横流しした主犯を秘密裏に探し出すこと。その犯人は爽(広末涼子)が率いる水樹班の一員・高杉(長谷川朝晴)だった。

 この高杉には警察内部でも一部の者しか知らない秘密があった。それが警視総監・荒牧(段田安則)の甥であること。漣に高杉を逮捕させることで荒牧のキャリアに泥を塗った責任を上司の千堂(椎名桔平)になすりつけようという吉永(光石研)の策略。分かりやすく言えば、外様派(千堂、漣)と東大派(吉永)の派閥争いである。

 派閥争いの中で罪を被る悲しき運命を辿ることになるのが、警視正への昇進を見送られ、吉永の下で不正経理の処理をさせられていた漣の同期・馳(渡辺大知)だ。漣、馳、新垣(馬場徹)はそれぞれ外様派、東大派、薩摩派とバラバラに配属されたライバルでありながらも、同期という不思議な絆で繋がった仲間でもある。良心の呵責に苦しみ漣に助けを求めながら薬を大量に飲み自殺を図る馳に、それを止めに走る新垣、助けることのできなかった悔しさから拳を握る漣と3人の熱い友情が垣間見える回だ。

「強さってなんだろうね? 長いものに巻かれることかな? それともそれに抗うことなのかな?」

 奇しくも、馳は理想とかけ離れた警察の現実を知り、だまされ、耐えきれなくなって命を絶った漣の父・勇仁(岡部たかし)と同じ道を辿ろうとしたことになる。警察という立場にいながら心の弱さから犯行に及んでしまった高杉の存在からも、第3回は強さとは何かが大きなテーマとして存在していた。

 印象的だったのは漣の胸ぐらを掴み黙らせる千堂の凄み。馳の単独犯として罪を着せた千堂に納得できない漣は必死に言いよるものの、千堂の剣幕の前に何も言い返すことができない。千堂が漣に「監察官はお前の手に余る」と言っていた真の意味は、警察のピラミッドははっきりとした権力政治にあるという現実。それでも千堂は虎視眈々と警察のトップを狙うチャンスを伺っている。そんな警察の頂点に君臨する器の持ち主を演じる椎名桔平が放つ凄みが、息の荒くなった玉木宏の表情からもありありと感じられた。

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