塚地武雅、俳優としても引く手あまたの存在に 『おちょやん』花車当郎の“愛あるなりきり”

 『おちょやん』(NHK総合)第21週目「竹井千代と申します」では、千代(杉咲花)が道頓堀から姿を消してから1年後が描かれ、彼女をまた表舞台に呼び戻そうと奮闘する立役者として漫才師・花車当郎(塚地武雅)が登場する。当郎は戦時中の防空壕の中で一度だけ千代と居合わせ、その場で即興で“しゃべくり漫才”を披露、抜群の間合いの掛け合いを見せていた。その時のことが忘れられず、ラジオドラマに千代と共演したいと彼女を探し始めるいよいよ塚地の本格始動週となるようだ。

 塚地の朝ドラ出演は『まれ』(NHK総合系)に続き、本作が2作目。お笑いコンビ・ドランクドラゴンのボケ担当で、“憑依芸人”の異名を持つが、それがいかんなく発揮されているのが俳優としての活躍ぶりだ。

 元々、人から好かれやすい“福顔”で華のある存在感、親しみを覚えやすい風貌で本作でのコミカルな役どころや純朴な“良い人”役はもちろんのこと、シリアスな役どころやちょっと鼻につく“嫌な奴”まで見事演じ分ける。そもそも表情のバリエーションが豊かで、よく表情筋も動き、顔の造詣も華やかであることから、いわゆる美男美女と呼ばれる俳優陣と並んでも全く存在が霞まない。

 普段の彼からギャップがかなり大きかった役どころの1つとして挙げられるのが、大河ドラマ『平清盛』(NHK総合系)での藤原信頼役で見せた権力に取り入る“悪い男”の顔だろう。元々、“善人顔”の方が“悪役”を演じるのは至難の業だと思うが、声色や話し方、したり顔で観る者に胸騒ぎを覚えさせる存在感を残していた。

 また、“嫌な奴”でいうと『ハケンの品格』(日本テレビ系)では、篠原涼子演じる主人公の“スーパーハケン” 大前春子の派遣先部署の部長役で、上司の顔色ばかり伺い保身ゆえの言動が目立つ旧態依然とした「中間管理職」の滑稽さと“小物ぶり”を見事演じてのけた。

 塚地の笑顔にはそのまま人を安心させ相手の警戒心を解き、心を開かせるような“受容”の効力もあるし、それが役どころによってはより“哀愁”が色濃く出たり、“自虐”の意味合いも含まれていたりと、その引き出しの多さも魅力だ。