テラシマユウカの「映画の話しかしてなかった」

テラシマユウカ、『BLUE/ブルー』に見た“勝ち負け"より大事なもの 吉田恵輔監督と語る

「誰かの意見に完全に合わせるなんて無理な話」

ーー映画をたくさん観ているテラシマさんですが、ご自身で演技をしてみたいと思うことも?

テラシマ:やらせていただけるなら、やりたいという気持ちはあります。でも『BLUE/ブルー』に出ている、それこそ松山さんのようなプロの方々の演技を観ていると、自分なんかおこがましいって思っちゃいますね。

吉田:でも俺、悪くないと思うよ。

テラシマ:本当ですか(笑)?

吉田:喋り方に特徴があるじゃないですか。ちょっとモゴモゴとした感じが、臨場感があっていいと思いますよ。最初からちゃんと役者をやろうとすると、発声練習とかでそういう臨場感を修正されちゃうんです。独特の個性がある人の方が、スクリーンじゃなくて本当にいる人に見える。だから、その喋り方含めて演技をやるのもいいと思いますよ。

テラシマ:よかったです。「モゴモゴ喋るな」ってよく言われるんです(笑)。

吉田:ほかの監督だったら、直してくれって言われるかもしれないけど(笑)。でも、役者っていうのは究極、演じる本人がよければいいと思うんです。監督の良し悪しに左右されると、気を付けないとどの演技が正解か分からなくなるから。本当はどれも正解なんですよ。

テラシマ:分かるかもしれません。ライブでも、やっぱりスタッフさんによって意見は違ったりするんですよね。私はあんまり人の話に聞く耳を持たないタイプなんですが(笑)。自分で決めたことをあまり曲げられないんですよね。

吉田:結局、誰かの意見に完全に合わせるなんて無理な話だしね。自分でやりたいこと、好きなことがもう見つかっているなら非常にいいと思う。俺は自分が好きことがなにか気付くまでに、30歳ぐらいまでかかったし、自信もなかった。自分がいいというものが世の中でいいと言われているものとずれていることが恥ずかしかった時代もあった。

テラシマ:吉田監督がそんな時代から変わるきっかけはあったんですか?

吉田:20代のときは、映画監督になるために自主映画を作って映画祭でグランプリを取るみたいな夢をずっと見ていたんだけど、ずっと10年近く一次通過もできないくらいで。そのうち、グランプリの傾向と対策を考えたり、グランプリを獲った作品の真似したりするようになっちゃったんです。それで、本当に自分が何がしたいのかわからなくなって、もうやめようかなと思って。最後ぐらいめちゃくちゃ自己満足の作品でも作っちゃおうと思って作った映画がグランプリを獲るっていう(笑)。やっぱり自分のやりたいように吹っ切れたのがよかったんじゃないかな。

テラシマ:すごい。

吉田:自分で決めたことをやるからには、自分のことを信じ続けないと鬱になっちゃうんだよ。当時は精神が滅入ってたね。7年目ぐらいには、実家の部屋の壁紙を剥がして、気づいたら剥き出しの壁に100個ぐらい漢字で「壁」って書いていたこともある(笑)。未だにその部屋はあるよ。あと、俺が面白い脚本を書けないのは、コンセントがあるからじゃないかとか思って、部屋のコンセントを全部とっちゃったり。最終的に光が入ってくるのが悪いってことにして、窓ガラスを全部スプレーで真っ暗にしたり。俺の実家行ったら廃墟だよ、もう。

テラシマ:行きたいです。そこで映画撮ってほしい(笑)。でも、今回お話してみて、吉田監督のお人柄が思っていたのといい意味で違くてよかったです。『ヒメアノ~ル』の印象があったのでちょっとドキドキしていたんです(笑)。

吉田:そうなんですよ。ただのお喋りおじさんです(笑)。

※吉田恵輔の「吉」は「つちよし」が正式表記。

■テラシマユウカ
11月5日生まれ。大阪府出身。
所属事務所WACKきっての映画好きな「PARADISES」のメンバー
映画コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を連載中
元SiSのメンバーでありSiS解散後、2016年10月6日に「GANG PARADE」に加入。
2020年3月「WACK合同オーディション2020」最終日に「GANG PARADE」を2つに分ける形で、「PARADISES」を結成。現在テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイの4人体制で活動中である。
テラシマユウカ Twitter:https://twitter.com/yuyu_paradises
PARADISES HP:https://paradises.jp/

PARADISES Instagram: https://www.instagram.com/paradisesgram/
PARADISES TikTok:https://vt.tiktok.com/ZSCXuDYn/

■公開情報
『BLUE/ブルー』
新宿バルト9ほか全国公開中
出演:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生、東出昌大
監督・脚本・殺陣指導:吉田恵輔
配給:ファントム・フィルム
製作幹事:東映ビデオ
製作:「BLUE/ブルー」製作委員会
2021年/カラー/ビスタ/5.1ch/107分
(c)2021「BLUE/ブルー」製作委員会
公式サイト:https://phantom-film.com/blue/
公式Twitter:@bluemovie_21

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