杉咲花×東野絢香に戻った笑顔 『おちょやん』現在にも響く“正しいに変わるように”の心

 一平たちには旅立つその前に、道頓堀に笑わすべき相手が一人いる。福助の戦死以来、部屋に閉じこもったままのみつえ(東野絢香)だ。演目は福助との結婚のきっかけとなった「マットン婆さん」。途中でみつえの息子の一福(歳内王太)が吹けないトランペットを演奏して笑いを誘うというものだが、予想に反して一福はいい音を響かせる。芝居を忘れて「すごいな一福! ようやった!」と喜ぶ千代に、「無茶苦茶やんか」とみつえにもやっと笑顔が戻る。

 嬉しさのあまり、駆け寄ってみつえを抱き締める千代。みつえを芝居に連れ出したシズ(篠原涼子)の「あんたが救われるために行くんやあれしまへん。千代たちをあんたが救いますのや」という言葉通りの結果に。どんな時も見離さない、千代とみつえの友情が形になった瞬間。芝居でお客さんを励ましている千代もまた、お客さんの笑顔に励まされていたのだ。

 道頓堀にも再び芝居の灯がともされた。一座は全国に笑いを届けるために次の街へ。その頃、福富の焼け跡には、すいとんを売るみつえと一福の姿が。満面の笑みを浮かべるみつえの後ろには菊と福松が命がけで守った福富の暖簾が掲げられていた。

 第19週「その名も、鶴亀新喜劇や」では、柝の音を合図に芝居の新しい幕が開ける。予告では寛治(前田旺志郎)と共にお守りのビー玉を見つめるヨシヲ(倉悠貴)の姿も。暗いトンネルを抜け出した千代たちに光が当たり始める。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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