笠松将、『君と世界が終わる日に』はまだ序章!? そのキャリアから見えてくるもの

 筆者はこれまでに3度、笠松にインタビューをしている。回数を重ねれば、とうぜん彼本人への親近感が湧いてくるもの。実際、笠松将という人物はひじょうにチャーミングだ。しかし、スクリーンやテレビ画面越しに見る彼はまったく別人である。筆者は彼(が演じる人物)に対して、本当に怒ったり、あるいは好感を抱いたりしている。それはひるがえって笠松が、自身の関わる作品に100パーセント貢献していることを意味するのだと思う。物語が展開している間、彼が演じるキャラクターとその背景だけがこちらには見えてくる。逆のことをいえば、それしか見えてこない。余計な情報は入ってこないのだ。これは彼が俳優なのだから当たり前のことに思われるかもしれないが、そうではないと思う。演じ手本人の印象的な言動や、演じたキャラクターのことが頭の片隅にでも残っていれば、いま目の前にしているキャラクターは“生きていない”といえるはずだ。

『君と世界が終わる日に』(c)日本テレビ

 SNSの隆盛によって、俳優と観客の距離感は近くなっている。私たちファンは、彼らの素顔を知ろうとするだろう。しかし、その素顔を作品ごとにおける“演技”という表現によってひっくり返すことができなければ、真の演技者とはいえないと思う。笠松に特定のイメージはない。彼は毎回、新鮮な驚きを与えてくれる。だからこそ私はいつも、“笠松将の出演作を観たい”と思うのだ。力のある者と“並走”していくには、とうぜん体力がいる。『君と世界が終わる日に』は笠松将にとって広く知られるきっかけになった作品かもしれないが、これは彼の俳優人生にとって、まだ序章にすぎないだろう。私たちも覚悟が必要だ。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
『君と世界が終わる日に』
Season1(全10話):日本テレビ系にて毎週日曜22:30〜放送
Season2(全6話):Huluにて、3月配信開始
出演:竹内涼真、中条あやみ、笠松将、飯豊まりえ、大谷亮平、笹野高史、マキタスポーツ、安藤玉恵、横溝菜帆、鈴之助、キム・ジェヒョン、滝藤賢一
脚本:池田奈津子
音楽:Slavomir Kowalewski A-bee
主題歌:菅田将暉「星を仰ぐ」(Sony Music Labels Inc.)
制作:福士睦、長澤一史
チーフプロデューサー:加藤正俊、茶ノ前香
プロデューサー:鈴木亜希乃、鬼頭直孝、伊藤裕史
協力プロデューサー:白石香織
演出:菅原伸太郎、中茎強、久保田充
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ、HJ Holdings,Inc.
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kimiseka/
公式Twitter:@kimiseka_ntv
公式Instagram:@kimiseka_ntv

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