『天国と地獄』の今後の展開を左右する!? 柄本佑が“便利屋りっくん”で担う役割

 謎が謎を呼び、先の読めない展開が続く『天国と地獄〜サイコな2人〜』(TBS系)において、“キーマン”ともいえるキャラクターを演じている柄本佑。彼は本作の核である綾瀬はるかと高橋一生による“入れ替わり劇”をより魅力的なものとし、物語に膨らみを与える役割を果たしていると思う。

 本作で柄本が演じているのは、刑事である望月(綾瀬はるか)の家に居候中のフリーター・陸。かつて、職務中にトラブルに巻き込まれている彼女を救出したことで出会った。そんな望月を自宅まで送り届けたところ、その部屋の散らかりっぷりからハウスキーパーとなり、いつの間にか居候の身となった存在だ。「便利屋りっくん」なるサイトを運営し、便利屋業を営んではいるものの、彼はいわば望月のヒモ。とはいえ、憎めない男である。金銭面は彼女に頼りきりであるのだが、甲斐甲斐しく家事全般を担う姿は愛らしい。

 この“憎めなさ”は陸という人物の持つキャラクター性に拠るところが大きかったが、それは物語中盤ぐらいまでのこと。彼が“入れ替わり”の事実を知り、「真実」に向かって物語も佳境に入りつつある現在、“癒し系のサブキャラ”は今後の展開を左右する重要な存在にまでなっている。そもそも、刑事モノであり犯罪モノでもある本作で、ヒロインのヒモにして“便利屋”というのはなんともユニークなポジションだ。陸と望月とのやり取りはいつだって愉快で、日高(身体は望月=綾瀬)とのやり取りにはヒヤヒヤ。安心感、緊張感、不安感、焦燥感……と、視聴者のなかにさまざまな感情を芽生えさせることが陸にはできる。こんな言い方は少しばかり不適切かもしれないが、このキャラクターの動かし方によっては喜劇も悲劇も生み出すことができるのだ。まさに“便利屋”。いまではさまざまな角度から、陸=柄本佑への注目が集まっているのである。

 そんな陸は、“入れ替わり”を知ってからというもの、望月の右腕的ポジションでもある。それまでの右腕といえば、溝端淳平演じる部下・八巻がいた(もちろんいまもだが)。八巻にしろ陸にしろ、片や部下で、もう一方はヒモ。当然といえば当然のことだが、望月との上下関係において彼女より下であり、両者ともに彼女から振り回されるキャラクターだ。どちらも望月との関係性において頭が上がらない立場には変わりないが、この二人の男の微妙な差異が面白い。八巻は刑事として奮闘する望月の背を一番近くで見ていた人物であり、陸は彼女の“素顔”をもっとも知っている人物。だからこそ、“入れ替わり”を知った二人の反応は違った。望月の不幸を思って涙する八巻にはこちらも涙を誘われたし、あっけらかんと受け入れる陸には笑ったものだ。ありえないような状況に理解を示そうとする八巻に対し、平然と受け入れる陸が“ありえない”。ところが、これをすんなり成立させてしまうのが柄本佑という俳優なのである。