生死の狭間での人質同士の友情が 『ある人質 生還までの398日』本編映像公開
2月19日公開の映画『ある人質 生還までの398日』の本編映像が公開された。
本作は、ジャーナリストのプク・ダムスゴーが書き上げた『ISの人質 13カ月の拘束、そして生還』(光文社新書刊)を原作に、398日間にわたってシリアで過激派組織IS(イスラム国)の人質となり、奇跡的に生還を果たしたデンマーク人写真家ダニエル・リューの過酷な体験と、決して諦めなかった家族の奔走を描く。
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のニールス・アルデン・オプレヴがメガホンを取り、『ダークタワー』のアナス・トマス・イェンセンが脚本、『幸せになるためのイタリア語講座』などの作品への出演で知られ、本作にも出演しているアナス・W・ベアテルセンが共同監督を担当。2017年ベルリン国際映画祭シューティング・スター賞を受賞したエスベン・スメドが主演を務めた。
公開されたのは、エスベン・スメド演じる主人公ダニエルや、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』『ファンタスティック・フォー』のトビー・ケベル演じるアメリカ人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリーらが拘束された部屋で、死と隣り合わせの極限状態にあるシーン。
薄暗い拘束部屋の中、ISの監視者たちから屈辱的なロバの真似を強いられ、暴力を受けぐったりするダニエルを、同じ人質仲間が気遣う様子から始まり、「今のは何だ。動物のマネか?」とダニエルに尋ねるジェームズに、「ロバの真似だ。連中が喜ぶ」と息も絶え絶えに答えるダニエル。「やっちゃだめだ」という忠告に、ダニエルは「やらないと殺される」と怯える。その姿に仲間たちは一瞬黙ってしまうが、ジェームズは「殺されるのは身代金を払えないからだ。次からは拒否しろ」とアドバイスし、少し微笑む。そして別のフランス人の人質からの「上手だからやらされる。次はもっと下手にやれ」というユーモアある言葉に思わず、ジェームズや他の人質、そしてダニエル自身も声を上げて笑い合う。しかしダニエルの表情からは複雑さも見てとれ、常に生と死の狭間で緊張を強いられる人質同士の友情と様々な感情、さらに身代金が払えないと死に直結するという現実が露呈するシーンとなっている。
ニールス・アルデン・オプレヴ監督は本作について「感情的に上がったり下がったり、色々な思いが湧き出てきて、魂に訴える作品になっていると思います。怖さや少しのユーモアを感じるかもしれないし、もちろんショックも受けるかもしれない。でも人間というものに対して、希望をもって劇場を後にできるのではないでしょうか。憎しみをぶつけられても、その相手を憎むのでなく、人は愛を持つことができる。本作を観てもらえれば、そんなメッセージをきっとわかってもらえるのではないかと思っています。私をはじめ、携わったすべての人がこの映画を誇りに思っています。皆さんにも自分が豊かになる体験をしていただけると願っています」とコメントしている。
■公開情報
『ある人質 生還までの398日』
2月19日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町にて公開
監督:ニールス・アルデン・オプレヴ、アナス・W・ベアテルセン
出演:エスベン・スメド、トビー・ケベル、アナス・W・ベアテルセン、ソフィー・トルプ
原作:プク・ダムスゴー『ISの人質 13カ月の拘束、そして生還』(光文社新書刊)
配給:ハピネット
配給協力:ギグリーボックス
原題:Ser du manen, Daniel/2019/デンマーク・スウェーデン・ノルウェー/デンマーク語・英語・アラビア語/138分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/日本語字幕:小路真由子
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