『CUBE』なぜいま菅田将暉主演でリメイク? 成功の鍵はデスゲームジャンルへの“本気度”

なぜいまリメイクされる? その懸念点とは

 そもそもなぜ本作なのか。その理由は大きく分けて二つあるように感じる。一つは当たり前だが、低予算で作れる魅力だ。例えばオリジナルのように、一つだけのセットをスタジオ内に作れば良いので昨今のコロナ渦におけるロケ撮影の配慮などもしなくて済むし、キャストも少ないので、そういう点でも撮影は進みやすいというのもあっただろう。そしてもう一つの理由として近年のホラー映画のヒットや、デスゲームジャンルが再び人気となった背景が挙げられるが、それは後述したい。

菅田将暉主演映画『CUBE』特報映像

 日本版の特報映像を見る限り、カラフルな箱の内部が映されていたので本作はほぼ確定で第1作目のリメイクになるだろう。2作目に関しては部屋がすべて白で統一されているからだ。それに、もしも2作目をリメイクするのだったら、筆者は製作陣の記憶を消して箱の中に閉じ込めたいほど全力でやめた方がいいと思う。

(左上から時計回りに)菅田将暉、杏、岡田将生、吉田鋼太郎、斎藤工、田代輝

 キャストの顔ぶれと役柄もすでに明かされている。後藤裕一(菅田将暉)はエンジニア、甲斐麻子(杏)は団体職員、超智真司(岡田将生)はフリーター、宇野千陽(田代輝)は中学生、井出寛(斎藤工)は整備士、安東和正(吉田鋼太郎)は会社役員となっている。元の『CUBE』で謎を隠していたキャラクター、天才っぷりを発揮するキャラクター、発狂するキャラクターがいたわけだが、全く同じ職業ではないことからもオリジナル要素(または他シリーズ作からの引用)は期待できる。 

 とはいえ日本では、ドラマはともかく、映画に関してはこれまで海外にリメイクされるという輸出はあっても、輸入してリメイクするケースはとても少なかった。近年では『50回目のファーストキス』や、2021年1月に公開された『おとなの事情 スマホをのぞいたら』(オリジナルはイタリア映画)も挙げられる。やり慣れていないハリウッドリメイクということだけあって、懸念点は諸々あると思う。そのなかで成功の鍵を握るのは、その見せ方だ。オリジナルがあそこまで人気になったのは、出し惜しみせずに多様で残酷な方法で数少ない登場人物を思い切って殺していったからだ。なので、どれだけ人気俳優だろうと(今回超豪華キャストであるが)スクリーンに長く映すためにもったいぶっていたら良くない。主演の菅田将暉がバラバラになる、くらいの迫力があった方が良いかもしれない。もちろん、デストラップ自体も肝心だ。チープに見えるなどして凄みが感じられないと、そもそもの映画全体の緊迫感を損なってしまう。しかし、ここで問題が生じる。そしてそれは、最近人気が再び湧いてきたデスゲームジャンルがこれまで抱えてきた問題でもある。

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