『クイーンズ・ギャンビット』で一躍話題に アニャ・テイラー=ジョイはなぜ人を惹きつける?
ホラー映画界で高めたその存在感
スクリーンデビューは2014年公開の『ヴァンパイア・アカデミー』だが、その翌年にロバート・エガース初長編作品『ザ・ウィッチ』で主演を飾ったアニャ・テイラー=ジョイ。1630年のニューイングランドを舞台に、敬虔なキリスト教の一家が赤ん坊の失踪を巡って魔女に怯えはじめる。その魔女と疑われた長女のトマシンを好演し、映画はサンダンス映画祭で監督賞を受賞するなど高い評価を得た。
鮮烈な主演デビュー後に再び彼女が多くの人の目に留まったのは『スプリット』。M・ナイト・シャマラン監督作であり、『アンブレイカブル』の続編でもある本作はジェームズ・マカヴォイが多重人格者を怪演したホラースリラーだ。しかし、彼の狂気的な演技に飲み込まれることなく、アニャ・テイラー=ジョイは攫われた女子高生の1人ケイシー役として強い印象を残した。彼女は続編の『ミスター・ガラス』にも続投している。
ほか、『マローボーン家の掟』や『X-MEN』シリーズ初のホラー『ニュー・ミュータント』など、なんとなく怖い映画に出演しがちだった彼女。駆け出しの女優の登竜門的なジャンルでもあるホラーだが、その中で彼女が一際存在感を持てたのはその“表情”に起因している。というのも、従来のホラーヒロインは恐怖に怯え、叫び、震えてきた。
しかし、そんなホラー畑で培った演技力と演じてきた役柄の積みが、『クイーンズ・ギャンビット』のベス・ハーモンに繋がっているように思える。
※以降、『ザ・ウィッチ』と『スプリット』の映画内容ネタバレあり