真野恵里菜が語る、結婚を経て響いた『逃げ恥』の教訓 スペインから一時帰国でSP出演へ
『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』の放送が、1月2日に迫っている。新垣結衣と星野源が演じる、みくり&平匡の雇用関係から始まった契約結婚。暮らしを共にするうちに、本当の愛が芽生えていく様子に、多くの視聴者が心をときめかせたのが2016年のことだった。
あれから4年、新春スペシャルドラマでは、ついに親になることになったみくり&平匡が描かれる。初めての妊娠、出産、子育て……そこに2020年という大きな社会の変化もやってくるという。
母として新しい道を歩き出そうというみくりにとって、心強い存在となるのが、シングルマザーとして力強く生きている親友の“やっさん”こと田中安恵だ。今回放送のスペシャルドラマでは青空市で販売していた野菜ジャムがヒット。テレビにも取り上げられ、今は社長として成功しているという。
そして、連続ドラマに引き続き“やっさん”を演じるのは真野恵里菜だ。現在はスペインに在住している真野に、オンラインインタビューを実施。世界が近くて遠くなった今、真野が『逃げ恥』を通じて感じた、自分らしい結婚や生活のヒントを聞いた。
リモート「恋ダンス」が励みになった2020年
――スペシャルドラマの制作が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
真野恵里菜(以下、真野):最初に出た言葉は「やるんだ!」でした。みくりたちがどうなったのか私自身も気になっていましたし、やっさんのその後も演じることができるのが嬉しく思いました。
――連続ドラマのときにはシングルマザーとして歩み出したばかりでしたが、スペシャルドラマでは社長として成功しているとのことで、やっさんの成長ぶりに驚きました。
真野:“いい人と出会って再婚しているのかな?”とか思っていたんですけど。私が想像していた以上でしたね(笑)。やっぱりやっさんはカッコいいなって、改めて思いました。
――真野さんご自身は、やっさんというキャラクターを演じていて親近感が持てる部分はありますか?
真野:喋り方がめちゃくちゃ似てるんですよ。今はちょっと大人になったので落ち着いたんですけど。10代後半20代前半とかは、本当にやっさんみたいな感じでしたね(笑)。女子会トークでも「それありえなくない?」「ひどい!」とか結構バサバサ言っちゃうタイプです。
――改めて『逃げ恥』は、真野さんにとってどんな作品でしょうか?
真野:この作品をきっかけに、多くの方に知っていただけたので女優として思い入れの深い作品です。「『逃げ恥』にファンになりました」という声を、今でもSNSなどで言ってくださる方が多くいらしゃって。みなさんの心の中に何年経っても残る、影響の大きな作品なんだなあと嬉しく思います。それから、私が一番嬉しかったのは今年の自粛期間中の再放送で、ステイホームの中で、キャストのみなさんがリモートで「恋ダンス」に参加するって聞いて、“さすがにスペインに住んでいるから声はかからないかな”って諦めかけていたら、スタッフさんからお声がかかって、今の姿が日本のテレビに流れたというのもすごく励みになりました。
――スペインの美しい風景と共に真野さんの元気な姿が見られて、嬉しかったです。
真野:ありがとうございます。「世界中がコロナ禍で大変だけど、それぞれの場所でみんな頑張ってるよっていうのが見たいからスペインだってわかる場所だと嬉しいな」と言われたので、どこで撮ろうかなってワクワクしながら考えました。あの時期はスペインでは外に出られるタイミングだったので、世界遺産のヘラクレスの塔があるあの場所で撮りました。実は、当時住んでいた家から近かったんです。
――久しぶりの「恋ダンス」も体が覚えていましたか?
真野:もちろんです。曲が流れるとつい踊っちゃうみたいな(笑)。
「真野ちゃんおかえり」の一言で、すぐに『逃げ恥』の世界へ
――では、今回の撮影は一時日本に帰国されて参加されたんですか?
真野:そうです。検査を受けて陰性であることを確認して、2週間の経過観察、体調管理を徹底して、それが解けてから衣装合わせしたり撮影に挑みました。
――4年ぶりのやっさん役はいかがでしたか?
真野:お芝居のお仕事そのものが2年半ぶりだったので、すごく緊張してたんですが、いざ現場に行ったら共演者の方々もスタッフのみなさんも全員知ってる方で「真野ちゃんおかえりー」って言ってくれたので、その一言でポッと『逃げ恥』の世界に帰ってきた感覚になりましたね。ただ最初のシーンが、みくりと2人でお弁当を食べるシーンだったんですけど手が震えちゃって(笑)。
――身体はまだ緊張していたんですね(笑)。
真野:はい。自分でも気持ちが切り替わったと思っていたので、びっくりしました。でも、監督から「真野ちゃん、大丈夫だから。僕は心配してないよ」って言っていただけたので、“落ち着け、自分”って言い聞かせながら、最初の30分くらいは自分との戦いでした。
――新垣さんとは、どんな会話をされたのでしょうか?
真野:スタッフさんが撮影の準備をしている間、待機室で2人で本当に何気ない話をしていたんですけど、“みくりとやっさんってこういう感じだったな”っていう空気を思い出しました。新垣さんが『逃げ恥』現場の新垣さんのままだったので、私もそれについていこうって思いました。
――スペシャルドラマの台本を読まれた感想はいかがでしたか?
真野:個人的には、みくりがママになるなんて! と感動しました。それと同じくらい、今のこの世の中だからこその物語だなって感じましたね。『逃げ恥』の世界も現実と同じ2020年を生きているので、色々と考える場面がたくさんありました。ちょっと辛くなってしまうシーンもあるんですけど、『逃げ恥』の世界観だからこそ、しんどいだけじゃなくて笑顔なれる。そんなほっこりとした気持ちで見られる台本なのは、脚本家の野木亜紀子さんならではだと思いました。本当に心に響くものを書かれるなと。
――本当に登場人物一人ひとりの視点で多くのことを考えていくことができる作品ですよね。真野さんはその中で特に心に響いたというテーマはありますか?
真野:私はやっさんを演じさせていただいたので、やっぱりやっさんの視点で考えさせられることが多かったです。シングルマザーは大変だけど、やり方によっては会社を作って、事業を成し遂げられる時代でもあるんだと勇気づけられたというか。やっさんの頑張りに共感したり、勇気をもらって、新しいことを始めてみようという方が、見ているみなさんの中にもいてくれたら嬉しいなと思います。