『麒麟がくる』染谷将太演じる織田信長が猛威を振るう 「蘭奢待切り取り事件」のエピソードも
その後、織田軍は勢いを増し、朝倉本拠地の一乗谷に火を放つ。追い詰められた朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)は、朝倉景鏡(手塚とおる)の裏切りに合い自害。約百年続いた越前の名門朝倉家は、ここに滅びる。信長は、同年の内に小谷城の浅井家を攻め落とし、滅亡させる。240年続いた室町幕府はついに幕を閉じたのだった。
信長による新しき時代が始まろうとしていた。朝倉・浅井を討ち、義昭を京から追放した信長は、たいそう満足な様子で蘭奢待の名を口にする。最初は「今の儂は蘭奢待を拝見できると思うか?」と謙虚だったのに、終いには、戦の褒美として帝(坂東玉三郎)に切り取りの許可を求めるまでに。
蘭奢待とは、東大寺正倉院に納められている香木のことである。様々な薬効を有するともいわれるが、何よりも重要なのは、これが天下人としての権威付けの意味合いを持つということだ。蘭奢待は目前に運び出され、信長はその香に恍惚とした表情を浮かべる。上機嫌で木片の半分を「帝に差し上げよう」と言い出す始末。だが帝は、届いた蘭奢待をこっそりと信長と対立関係の毛利輝元に送ろうとしていた。これまでに金銭的な援助をしたり、弟・覚恕(春風亭小朝)を京から排除したりと、帝に必要な存在だった信長だが、今後も必要であり続けることはできるのだろうか。すでに帝と面会を果たし、心酔している様子の光秀との今後の関係性も気になるところだ。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
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