ロイ・アンダーソン監督が『ホモ・サピエンスの涙』で伝えたかったこと 独自の制作活動に迫る

「これまで通り制作活動を続けていくべき」

ーー登場人物や小道具の配置、空間の切り取り方など、絵画的な映像があなたの作品の魅力の一つでもあると思います。やはり細かい配置や動きまで、撮影時に細く見ながら演出をされているのでしょうか?

アンダーソン:私は演出において、「ここに立ってください」と指示することはありますが、それ以上のことは言いません。「ここに立って、こう動いてほしい」というお願いはしますが、それ以上ではないんです。演出面において細かく指示する監督もいらっしゃいますが、私はそういうプロセスで撮っています。

ーー長編、短編、そしてCMと、異なるフォーマットで作品を撮り続けていますが、長編映画からは25年間も離れていた時期がありました。作品のフォーマットには何かこだわりがありますか?

アンダーソン:私は特に、ドイツの1920年代の映画作品から影響を受けています。CMだからと言って長編映画と違いがあるのかというと、私はそうは思っていません。どちらも同じように面白いものだし、どちらかが高尚だとも思っていないんです。それが、長い期間にわたってCMでも監督として関わってきた理由でもあります。

ーー奇しくもいま世界が直面している現状ともリンクするような内容になっていますが、監督自身はいまの世界の状況、そして映画制作に及ぼす影響についてどのように考えていますか?

アンダーソン:私たちがやるべきことは、基本的には変わらないはずです。コロナがあろうとなかろうと、これまで通り制作活動を続けていくべきだと思っています。

■公開情報
『ホモ・サピエンスの涙』
11月20日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館にて公開
監督・脚本:ロイ・アンダーソン
出演:マッティン・サーネル、タティアーナ・デローナイ、アンデシュ・ヘルストルム
撮影:ゲルゲイ・パロス
配給:ビターズ・エンド
後援:スウェーデン大使館
2019年/スウェーデン=ドイツ=ノルウェー/カラー/76分/ビスタ/英題:About Endlessness
(c)Studio 24

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