『世にも奇妙な物語 '20秋の特別編』は30周年にふさわしい作品に 広瀬すず主演作など見どころ紹介

 火花を散らすような女のバトルが見られるのが、大竹しのぶ主演の『タテモトマサコ』。日本を代表する女優で本シリーズ3回目の主演となる大竹が、成海璃子と交わす動きや視線、セリフの応酬は一瞬たりとも目が離せない。大竹演じる館本のキャラクター造形はさすがの一言だ。

 30年の歴史を通して、『世にも奇妙な物語』は多くの俳優や脚本家を世に送り出してきた。特に脚本では、初期にデビュー間もない北川悦吏子や中園ミホ、水橋文美江にオファーし、2000年代以降は、黒岩勉やバカリズムが本シリーズをきっかけに飛躍を遂げてきた。オリジナル作品だけでなく、原作ものも小説や漫画など広く題材を求めてきたが、その流れの先端にあるのが、高橋克実主演の『アップデート家族』だ。

 『アップデート家族』の原作は、集英社が運営するマンガ投稿サービス「ジャンプルーキー!」に投稿されたチョモランマ服部による同名マンガで、「第2回 うすた京介 漫画賞」の準大賞受賞作品。マンガ的な設定を、大竹と同じく通算3度目の出演となる高橋が絶妙な温度感で料理している。娘役の吉川愛も演技巧者ぶりを発揮しており、小編ながら満足感の高い作品となった。

 ちなみに『コインランドリー』の原作は『少年ジャンプ+』掲載の『ロッカールーム』。『少年ジャンプ+』といえば、現在『週刊少年ジャンプ』誌上で話題沸騰中の『チェンソーマン』の作者・藤本タツキが、同作の前に連載をしていたことでも知られる。新しい才能を積極的に登用する姿勢が『世にも奇妙な物語』を30年にわたる長期シリーズにしている。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
土曜プレミアム『世にも奇妙な物語 ’20秋の特別編』
フジテレビ系にて、11月14日(土)21:00~23:10放送
ストーリーテラー:タモリ

『タテモトマサコ』
出演:大竹しのぶ、成海璃子、森高愛、小松和重、佐伯大地、浦まゆほか
脚本:山岡潤平
原案:荒木哉仁
演出:小林義則

『アップデート家族』
出演:高橋克実、吉川愛ほか
原作:『アップデート家族』チョモランマ服部(集英社『ジャンプルーキー!』)
脚本:向田邦彦
演出:北坊信一

『コインランドリー』
出演:濱田岳、岡崎紗絵、コロッケほか
原作:『ロッカールーム』鈴木祐斗(集英社『少年ジャンプ+』掲載)
脚本:遠山絵梨香
演出:松木創

『イマジナリーフレンド』
出演:広瀬すず、堀内敬子、岐洲匠、横田真悠、夏子ほか
脚本:荒木哉仁
演出:植田泰史

編成企画:渡辺恒也、狩野雄太
プロデュース:小林宙、中村亮太
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ

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