『この恋あたためますか』まっすぐに進み始めていく四角関係 森七菜ら4人の属性を分析

 感情と理性、天才型と努力型……火曜ドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)で描かれる四角関係の4人はキレイにその属性が分かれている。だからこそ、お互いにない部分を尊敬しながら、嫉妬してしまう。

 樹木(森七菜)は、感情×天才型。豊かな発想力と行動力で人生を切り拓いていく。「自分なんて」という自尊心を傷つけた時期を、浅羽(中村倫也)から必要とされた喜びで乗り越え、今では失うものがない身軽さで次々と大胆なアイデアを発信していく。

 その思いきりの良さが、斬新な視点が、理性×努力型の里保(石橋静河)にとっては、眩しくてしかたない。憧れの上司である一岡(市川実和子)のもとで、時間をかけて着実にスキルを磨いてきた里保。だからこそ、セオリー通りの考えが先に出てしまい、樹木の意見に対してつい否定的な言葉を投げかけてしまうのだ。

 そんな2人と共に、りんごを使った新スイーツプロジェクトを進める新谷(仲野太賀)は、感情×努力型。感情の部分では樹木と意気投合し、前向きな気持ちが加速していく。そして里保と同じく粘り強く物事に取り組むことができるキャラクター。だが、それゆえに樹木の負の感情をもらいやすく、里保の厳しい意見にも同調しやすい。

 樹木は里保と浅羽が元恋人だった過去を知り、ショックを隠しきれない。浅羽への思いそのものが仕事へのモチベーションに繋がっていたのだから当然だ。隠しきれない感情が新谷にも伝わり、初めてリーダーとしてチームをまとめなければと気負う里保の心も沈めていく。バラバラの気持ちから生まれたスイーツは、3人の関係性をそのまま詰め込んだようなまとまりのないりんごプリンに……。

 そんなピンチを脱するきっかけは、それぞれが信頼できる人に相談したことだった。樹木は同居人のスー(古川琴音)に、里保は浅羽に、新谷は店長の上杉(飯塚悟志)と碓井(一ノ瀬颯)に、それぞれ偽りのないホンネを話す。ぐちゃぐちゃになった頭の中を整理するには、まずは取り出して、何が絡まっているのかを見極めること。1人で難しいときには、誰かを頼ることが大事なのだ。

 樹木はスマホに保存した浅羽との2ショット写真を削除し、浅羽に里保と「お似合いだ」と伝える。そんな自分が少し誇らしくなったのか、樹木の表情がちょっぴり大人びて見えた。職場にプライベートな感情を全てぶつけてきた樹木の心が、ひとつ整理された証。たとえ浅羽と恋愛関係にはなれなくても、そばにいられる毎日を選ぶ。まだ心は痛むけれど、自分の良さを見出してくれた人をガッカリさせたくないから。

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