竹内涼真はリアルな恋愛ものにもハマる? 『竹内涼真の撮休』で見せる可能性

 ポイントは薫がテレビを持っていない人で、芸能界に疎いこと。竹内に「竹内です」と自己紹介されても、反応はない。最初はキャップと伊達メガネで変装していた竹内もすっかり警戒を解いて素顔になり、お店に居座ってしまう。薫に年齢を聞かれ、「27歳です」と答える竹内。薫は明らかに年上だが、並んで料理をするうちに、美人で艶っぽい彼女の仕草に竹内もついドキドキする。

 異国情緒あふれるスパイスの名前にも、何やら男女の関係に関する意味が込められているよう。監督がピンク映画から出発し、恋愛映画の名手として知られる廣木隆一(『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『ここは退屈迎えに来て』ほか)とあって、竹内と薫の間には、セクシーな展開にもなりそうな雰囲気が漂う。薫は竹内をヨガに誘い、懸命に難しいポーズを取っている彼に顔を近づけて匂いをかぐ。ちょっと危うげでその状態を楽しんでいるような大人の男女関係は、地上波のドラマでは竹内があまり演じることのない役どころだ。他の作品ではいつも極限状態に追い詰められがちな彼のちょっと緩んだ自然体の表情は、ここでしか見られない。

 『テセウスの船』では妻と子がいるキャラクターで、もともと仮面ライダーだけに子供好きとして知られる竹内だが、父親役を演じる前の段階、つまりストレートな恋愛ドラマにはまだ出ていない。しかし、この第1話では、リアルな世界観のラブストーリーにもハマる可能性を見せている。この路線で、例えば、道ならぬ恋に苦悩する竹内涼真や恋のトライアングルであくせくする竹内涼真も見たいと思ってしまった。やはり、恋愛ものでも追い詰められてほしいのかもしれない。

 第2話以降は、竹内が買い物に出かけたり弟の彼女と会ったりというリアル路線と、竹内が2人存在するようなぶっとんだ設定(松本まりかとの共演に注目!)の両方が描かれる。演出も廣木のほか、『ミッドナイトスワン』の内田英治、現役大学生の新鋭・松本花奈と、竹内と初めて組む監督ばかり。WOWOWでしか実現しなさそうなアーティスティックな試みを全8エピソード、存分に味わいたい。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
WOWOWオリジナルドラマ『竹内涼真の撮休』
WOWOWプライムにて、11月6日(金)スタート 毎週金曜深夜24:00〜放送(全8話)
出演:竹内涼真、小池栄子、渋川清彦、藤野涼子、松本穂香、佐野勇斗、佐津川愛美、藤原季節、富司純子、松本まりか、山本浩司、岡部たかし、森川葵、吉村界人ほか
監督:廣木隆一、内田英治、松本花奈
脚本:狗飼恭子、ぺヤンヌマキ、ふじきみつ彦、舘そらみ、松本哲也、玉田真也、竹村武司、首藤凜
音楽:つじあやの
主題歌:平井大「Holiday」(テレビ朝日ミュージック/avex)
制作協力:ホリプロ
製作:「竹内涼真の撮休」製作委員会
(c)「竹内涼真の撮休」製作委員会
公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/satsukyu2/

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