『35歳の少女』だけじゃない 女優デビュー10周年、橋本愛の俳優としての現在地

 放送中の『35歳の少女』はプライムタイムに放送の現代劇で、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)は時代劇。すでに上演が終了した『班女』は舞台作品だ。これらで演じる役に同時期に臨んでいたとのことだが、いずれのジャンルも、製作形態も異なる。どのようにして橋本は、「私」と「役」とのバランスを保っていたのだろうか。

 冒頭で述べたように、ときに俳優とは、同時期に複数の人格を自身のなかに育まねばならない人々だ。そこから生まれるものが、私たち観客から笑いを引き出し、涙をこぼさせる。ある瞬間を機に、大幅に活動の量を増やす者たちがいるが、彼らの中では何が起こっているのだろうか。それが非常に顕著な存在として、佐藤健や安藤政信などの姿が思い浮かぶ。

 橋本の出演映画だと、『あまちゃん』以来7年ぶりにのんと共演する『私をくいとめて』にも注目してほしい。演じるのは、イタリアの方へと嫁いでいった、主人公の親友役。彼女が出演してきた過去作と照らし合わせてみることで、橋本愛の俳優としての現在地が見えてくることだろう。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
『35歳の少女』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:柴咲コウ、坂口健太郎、橋本愛、田中哲司、富田靖子、竜星涼、鈴木保奈美、細田善彦、大友花恋
脚本:遊川和彦
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:大平太、諸田景子
演出:猪股隆一ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/shojo35/
公式Twitter:@shojo35

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