岡田惠和×有村架純のドラマから目が離せない理由 タッグ6作目『姉ちゃんの恋人』に寄せて

 有村がドラマで主演を演じたのは、2016年に坂元裕二脚本の恋愛ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)からで、それ以前は小さな役が多かった。しかし、堤幸彦演出の『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系)で演じた正汽雅や、宮藤官九郎脚本の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)で演じた天野春子を筆頭に、出番が少なくても印象に残る役を多数演じることで注目されるようになっていった。面白いのは、有村自身の印象は当時も今もあまり変わらないこと。

 例えば、岡田が脚本を務め堤幸彦が演出した2013年の『スターマン・この星の恋』(フジテレビ系)では、田舎町のスーパーで働く女性・臼井祥子を演じた。彼女は年下の彼氏がいるものの、退屈な日常に不満を感じ、いつも苛立っている。そんな祥子が宇宙人の存在を知ったことで少しずつ変っていく姿が本作では描かれていたのだが、その時から有村は、社会に適応しているように見える女性の中にある不安や鬱屈を演じさせるとピカイチだった。それは、シリアスでもコメディでも一貫して現れる彼女の本質のようなもので、それは岡田ドラマにも通じるものだ。

 『姉ちゃんの恋人』も楽しいラブコメの裏側に、二人にしか出せない普通の人の鬱屈や不安が込められているはずだ。だからこそ、二人のドラマから目が離せないのである。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
『姉ちゃんの恋人』
カンテレ・フジテレビ系にて、10月27日(火)スタート 毎週火曜21:00〜放送
出演:有村架純、林遣都、奈緒、高橋海人(King & Prince)、やついいちろう、日向亘、阿南敦子、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、スミマサノリ、井阪郁巳、南出凌嘉、西川瑞 、和久井映見、光石研、紺野まひる、小池栄子、藤木直人ほか
脚本:岡田惠和
音楽:眞鍋昭大
主題歌:Mr.Children「Brand new planet」(TOY’S FACTORY)
演出:三宅喜重(カンテレ)、本橋圭太、宝来忠昭
プロデュース:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)、平部隆明(ホリプロ)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
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