乃木坂46メンバーだけじゃない! 小西桜子、福本莉子、桜田ひよりら『映像研』注目女優
桜田ひより
先に述べてきた小西桜子、福本莉子より年少でありながら、もっともキャリアの長いのが桜田ひより。何せ彼女は子役から俳優活動を行ってきた。ドラマ版に続き劇場版が公開された、『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』(2018)なんて主演作もすでにあるのだ。
そんな桜田が『映像研』で演じるのは、唯一の音響部部員である百目鬼。一匹狼的な存在の彼女だが、いまや映像に欠かせない“音響”を手がけることで、“映像研”の面々と手を組むこととなる。どちらかと言えばハツラツとした印象が強かった桜田だが、本作では口数の少ない女生徒に扮している。それでいて、彼女が登場すると大きな安心感が生まれるのは、この人物を演じているのが桜田であることにほかならないだろう。
桜田のキャリアが長いということは先に記したとおり。つまり、踏んできた“場数”が圧倒的に違うのである。それは、メインキャストを務めた3名に対しても言えること。桜田は俳優として、実にさまざまな現場で経験を積んできた。筆者的に印象深いのは、やはり『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年)で、“あの満男(吉岡秀隆)”の愛娘を演じていたことである。
同作は『男はつらいよ』シリーズ50作目にして完結編となった、多くの人々から愛される作品。主演は故・渥美清演じる“寅さん”だが、彼の甥である満男が“愛すべき僕のおじさん”の存在を振り返る構成となっている。“寅さん”の遺伝子を継ぐ満男は、本作において最重要人物だ。その娘役を桜田が演じているというのは、彼女がいち俳優として信頼できる存在であり、渥美や吉岡のように、何か愛される要素を持っている証なのではないか。こういった作品を経てきた経験が、『映像研』において彼女が登場する際の安心感に繋がっているのではないかと思う。やはり経験に勝るものはない。
興行収入ランキングでも、初登場5位につけた実写版映画『映像研には手を出すな!』。作品を圧倒的な熱量で牽引する乃木坂の3名だけでなく、彼女らがいてこそ、盛り上がりを見せているのではないだろうか。
■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter
■公開情報
映画『映像研には手を出すな!』
全国公開中
出演:齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波、小西桜子、グレイス・エマ、福本莉子、松崎亮、桜田ひより、板垣瑞生、赤楚衛二、鈴之助、出合正幸、松本若菜、山中聡、浜辺美波、高嶋政宏
原作:大童澄瞳『映像研には手を出すな!』(小学館 『月刊!スピリッツ』連載中)
監督:英勉
制作プロダクション:ROBOT
配給:東宝映像事業部
(c)2020 「映像研」実写映画化作戦会議 (c)2016 大童澄瞳/小学館
公式サイト:https://eizouken-saikyo.com/
公式Twitter:@eizouken_saikyo