『スペシャルズ!』ヴァンサン・カッセルが政府と対峙する本編映像公開 フランス政府から連絡も?
9月11日に公開となる映画『スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』の本編映像が公開された。
本国フランスでは動員数200万人を突破、スペインのサンセバスチャン国際映画祭では過去最高得点で観客賞に輝き、セザール賞では9部門にノミネートされた本作は、実話に基づくケア施設を舞台とした人間ドラマ。『最強のふたり』『セラヴィ!』などのエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュが監督を務めた。
主演を務めるのは、『ジェイソン・ボーン』や『ブラック・スワン』などハリウッド映画でも活躍するヴァンサン・カッセル。本作では政府や社会から理解を得るため見返りを求めず奮闘するケア施設の代表を演じる。共演には、ジャック・オーディアールやヴィム・ヴェンダースの作品で活躍するレダ・カテブ。そして本物の介護者と自閉症の若者、その家族らが多数キャスティングされている。
公開されたのは、カッセル演じるブリュノが施設にやってきた政府の役人と対峙するシーン。ブリュノの施設は24時間ケアし、他で断られた重症の子どもたちも分け隔てなく受け入れるため、児童相談所や、医師たちからの入所相談の連絡が引きも切らない。必要とされる以上、採算度外視で受け入れるだけ受け入れる主義のブリュノの施設は、常に火の車だ。しかし現場を知らない政府の役人たちは、資格のないスタッフが働いていることや、経営が赤字であることなど四角四面な理由で彼の施設を問題視。改善の対策や、子どもたちの引き取り先も明示せず、閉鎖を示唆する。
常に社会問題を扱ってきたナカシュ&トレダノ監督。ナカシュ監督は、「このプロジェクトを聞きつけた、連帯・保健省(日本の厚生省にあたるもの/2017年に社会問題・保健省から改名)からコンタクトがあった。公開されたらきっと国民から“政府がなにもやっていない”という声があがるだろうと思ったんだろうね。だから公開前に観て、政府としてこうした施設の対応策にきちんと着手したいということだった。マクロン大統領も早く観たいと言ってくれたよ。政府に対してもちょっとしたインパクトを与えることができたと思うよ。そしてようやく施設に認可が下りたんだ」と、完成前にフランス政府から連絡がきたことを明かした。
ただ、監督たちが一番うれしかったのは、当事者の家族たちから「周りの人たちから少し距離を置かれていたが、作品が公開されたことで理解を得られ、隣人たちが率先して声をかけてくれるようになった。ありがとう」という反応があったことだという。ナカシュ監督は「色々なヒーロー映画があるけれど、この作品は僕らにとってのヒーロー映画。弱い者のために奔走するブリュノは本物のスーパーヒーローだよ」とコメントした。
■公開情報
『スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』
9月11日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
出演:ヴァンサン・カッセル、レダ・カテブ 、エレーヌ・ヴァンサン
監督・脚本:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
制作:ニコラ・デュヴァル・アダソフスキ
配給:ギャガ
2019年/フランス/114分/フランス語/カラー/シネスコ/字幕翻訳:丸山垂穂/映倫:G/原題:Hors Normes(英題:The Specials)
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