松本まりかは単なる“あざとかわいい”女優ではない 2つのドラマで見せる全く違った芝居

コメディ演技でバランス感覚発揮の『妖怪シェアハウス』

『妖怪シェアハウス』(c)テレビ朝日

 小芝風花主演のホラーコメディ『妖怪シェアハウス』では、松本の、また違った魅力を知ることができる。小芝演じる人生どん底ヒロインの目黒澪が、ひょんなことから、ある神社の境内にある妖怪たちの住むシェアハウスで同居することになる。松本が演じるのは「うらめしや~」で知られる四谷怪談のお岩さんこと四谷伊和。大倉孝二がぬらりひょん、池谷のぶえが座敷童子、毎熊克哉が酒呑童子(鬼)を演じ、人間界にはびこる悪を、少々手荒に成敗していく。

『妖怪シェアハウス』(c)テレビ朝日

 女性の敵役のイメージが強い松本だが、ここでは女性の味方。澪を案じる心優しきお岩さんだ。現代社会では、看護師として働いており、伊和の看護ならぜひとも受けたいと思わせる。そして何より、高いコメディセンスを発揮している。大倉と池谷という芸達者な役者との掛け合いを、松本も毎熊も楽しんでいるのが伝わり、4人が妖怪だけで通じ合うテレパシーを使い、白目をむいて会話している姿も、きっちりやりきり笑わせる。いま話題のアマビエ(片桐仁)が登場した第4話では、弾けたパリピ姿も披露。ほかの妖怪たちと補い合って立つ松本に、松本の女優としてのバランス感覚の良さがはっきりした。

『妖怪シェアハウス』(c)テレビ朝日

 そして、これは妖怪たち4人に共通して言えることだが、“あざとかわいい”というより、素直にかわいい。加えて松本は十分に色っぽく、片目を隠したことによって、逆に瞳の色香や、艶やかな声がすっと入ってくる。ちなみに松本の女優としての声の艶やかさは、大きな動きを排した『死役所』(テレビ東京系)でのニシ川役でも、より伝わった。『妖怪シェアハウス』では、とにかくキャスト陣の間で交わされる、心地よい空気のキャッチボールを楽しみたい。

 つまりは、松本は単なる“あざとかわいい”女優ではない。現在、2つのドラマで全く違った芝居を見せると同時に、まだまだ色んな顔があるに違いないと思わせる。ほど近い将来、主演としての顔も加えて、「松本まりか劇場」のラインナップをさらに豊かにしていくはずだ。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■放送情報
『妖怪シェアハウス』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~24:05放送
出演:小芝風花、松本まりか、毎熊克哉、池谷のぶえ、内藤理沙、大東駿介、味方良介、柾木玲弥、宮本茉由、大倉孝二
脚本:西荻弓絵、ブラジリィー・アン・山田、綿種アヤ
演出:豊島圭介、山本大輔
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、宮内貴子(角川大映スタジオ)
制作:テレビ朝日
制作協力:角川大映スタジオ
(c)テレビ朝日
公式Twitter:https://twitter.com/youkaihouse5
公式Instagram:https://www.instagram.com/youkaihouse5/

『竜の道 二つの顔の復讐者』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:玉木宏、高橋一生、松本穂香、細田善彦、奈緒、今野浩喜、渡辺邦斗、 落合モトキ、西郷輝彦(特別出演)、松本まりか、斉藤由貴、遠藤憲一ほか
原作:白川道 『竜の道』 (幻冬舎文庫)
脚本:篠崎絵里子(「崎」は「たつさき」が正式表記)、守口悠介
音楽:村松崇継
主題歌:SEKAI NO OWARI 「umbrella」(ユニバーサル ミュージック)
オープニング曲:ビッケブランカ 「ミラージュ」(avex trax)
プロデュース:米田孝、水野綾子
演出:城宝秀則、岩田和行、紙谷楓、吉田使憲
制作:カンテレ、共同テレビ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/ryu-no-michi/
公式Twitter:https://twitter.com/ryunomichi_ktv

関連記事